Sarmaticus

誰も読まないような趣味の話しかしないほうのブログ

キングダムカム・デリバランスの舞台に行ってきた 2023

去年行った時の記録を公開してなかったので, キングダムカム・デリバランスの Nintendo Switch 移植が発表されたのきっかけに公開した.

前回行った時の話はここに書いた.

under-identified.hatenablog.com

ハーズムブルク (Házmburk )

ゲーム中ではドイツ語でのハーゼンブルグ (Hasenburg) という名前で言及される. 直接行くことはできず, あるサブクエストで登場する人物に関する写本で言及されるのみである.

ハーズムブルク城は小高い丘の上に建てられ, 現在は2つの塔と, 周囲の城壁の一部が残っている. 四角い塔は白塔 (Bílá věž) と呼ばれ, 円塔は黒塔 (Černá věž) と呼ばれる. 塔内の模型によると, 丘の頂上と, 丘の周りにも城壁が巡らされていたらしい. ふもとの城壁は残骸が一部残っているだけだった. 黒塔は地上に入り口がなく, 隣の建物と木造の渡り廊下と接続されているため, 籠城を想定した建物だろう. 現在は白塔にのみ入場できる.

城の入り口
白塔側から見た黒塔
白塔の最上階から見た黒塔
トロスキ城と同様に, 隆起した溶岩の上に建てられたようだ
ハーズムブルクの想像復元模型

行き方

アクセスのタイミングが良ければ, プラハ中央駅から1時間半から2時間程度で行ける. 現地は商店も何もない小さな村なので, 一番近い鉄道駅から1時間に1回程度の頻度の路線バス*1で移動する.

最寄り駅はロヴォシツェ (Rovosice) かリヴォホヴィツェ (Livochovice) だが, チェコ鉄道の快速 (R) でプラハ中央駅から1本で行けるロヴォシツェ駅を目指したほうが便利だと思う. どちらの駅にも, 城の最寄りのバス停であるクラピー (Klapý) 行きのバスがある*2. 小高い丘の上にあるため, バス停から城の入り口までさらに30分から1時間程度歩く必要がある. また, 帰り道の案内標識の向きがおかしかったので安易に鵜呑みにしないこと. 入場料が必要だったがいくらだったかは忘れた. 外国人観光客があまり来ない場所なので職員は英語が話せない可能性がある.

ところで, ロヴォシツェはドイツ語ではロボジツ (Lobositz) といい, 七年戦争のロボジッツの戦いが発生したのはこの付近である. もしかすると戦闘にまつわる博物館とかイベントとかがるのかもしれないが, 私は確認する時間がなかった.

周囲は平地なので, バスの車内からも見られるだろう.
Klapýのバス停, ハーズムブルク城のシルエットが描かれている
不安定な場所にあると思ったら, そもそも地面に固定されていなかった.

ストジーブルナー・スカリツェ (Stříbrná Skalice)

ゲーム内ではスカーリッツと呼ばれている. 前回は行けなかったので行った. 今回はバスを使って鉄道駅の近くのバス停で降りた.

鉄道駅付近のバス停

ロヴナの教会

バス停から少し北上したところにある.

ロヴナの教会

市街地

ゲーム冒頭のハンガリー軍の略奪で壊滅したため, 当時の面影はほとんどない.

市街地北側の看板
現在の市街地

プシビスラヴィツェ (Přibyslavice)

ゲーム中ではドイツ語風にプリビスラヴィッツと呼ばれる.

作中でクマン人と盗賊あがりの傭兵たちが拠点を築いていた場所のモデルらしい. かなり辺鄙なところにある. ロヴナの教会からさらに少し北上したところで, 舗装されていない脇道を進むとたどり着ける. サイクリングロードらしいが, 遮断器が降りていた. しかし家族連れのサイクリング集団が気にせずくぐって通っていったので自分も通ることにした.

わずかに石垣が残っているだけだ

サーザヴァ (Sázava)

前回は修道院に入れなかった (正確には入ったら閉館時間だと言って追い出された). 館内には修道院とサーザヴァ周辺の歴史に関する様々な展示がなされていた. 修道院は長い歴史の中で何度も増改築されたため, ゴシック様式からバロック様式, さらには古い正教会の様式も入り混じっているという, 稀有な建物になっている. 加えて, チェコ人が定住する前からこの地域にケルト人が住んでいた痕跡となる展示品もある. サーザヴァという名称も, ケルト人の言葉が由来だとされている. ちなみにサーザヴァは『コスマスの年代記』でも言及されている. 最近, 和訳が成文社から刊行されたので, 興味があれば読むといいだろう.

www.seibunsha.net

2019年と今回の訪問の比較
修道院は何度も改築されている
現在の建物はバロック様式の時代に建設された
礼拝堂の内部もバロック様式になっている
ゴシック様式は建物の一角にのみ残っている. チェコゴシック様式はあまり残っていないため珍しいらしい.


修道院の見学はツアーガイドのみになっている. 入場料も必要だ. ガイドはチェコ語のみだが, 英語の冊子を手渡される. ガイドが英語も話せるなら, これも職務の範囲なのかはわからないが, 特別に英語でなにか教えてもらえるかもしれない. 礼拝堂だけならば自由に入ることができ, 入場料も取られない.

お布施台 (非接触決済可)
重要文化財だからか何かの理由で, 修道院の見学はツアーガイドのみになっている.
ゲーム内で宿屋のある場所にはピザなどの軽食を出す店がある

行き方

今回はプラハからバスを乗り継いでスカリツェへ行き, 徒歩でロヴナの教会とプシヴィスラヴィツェを見て回ってからスカリツェ市街地へ戻り, バスでサーザヴァへ向かった. この近くには大きな都市がないため, 公共交通機関を使ってたどり着くのがやや難しい. そのため, ルート検索アプリを活用しないとうまく行けないかもしれない. iDOS.cz のアプリがあると便利だろう. 鉄道でも行けるが, ほぼ各駅停車(Os)しか走らない上に停車ボタンがあるようなローカル線なので, あまり本数がない. 特に休日は注意しなければならない. 帰り道も交通機関の接続が悪く, プラハへ戻るためにウフリーシュスケー・ヤノヴィツェ (Uhlířské Janovice) でバスを乗り継いでコリーン (Kolín) まで行き, そこからユーロシティに乗る必要があった. なお, この経路だと, 帰り道のバスはタルムベルク (Talmberk) とウージツェ (Úžice) の教会の前を通る.

なお, スカリツェやサーザヴァ周辺にはサイクリングコースが設定されているので, 自転車を入手するつてがあれば, 自転車に乗って見て回るというのもいいかもしれない. 今回訪ねた5/1は, 祝日である上に天気がとても良かったため, サイクリング客をよく見かけた. クラッシュした若者も見かけた.

*1:私の経験の範囲では, チェコの田舎の公共交通機関は土日はさらに本数が減るので, 訪問したい場合は祝日や休日かどうかに注意する必要がある.

*2:正確には, 2つの駅を結ぶ路線の道中でクラピーを通るということのようだ.