under-identified’s diary

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電子ビザでウラジオストク旅行するときのお役立ち情報いろいろ

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ウラジオストク市の中心部

概要

観光名所の紹介ではなく, ウラジオストク旅行する際に役立つ情報全般を書いておく. 路線バス乗り方とか買い物のしかたとか, 店の看板の見方とか.


出発から到着まで

まずは日本から発してウラジオストク市街地へ行くまでの話を時系列順で補足説明していく.

電子ビザ


によれば, 電子ビザで入国できるのは 沿海地方 (プリモルスキー・クラーイ, 州都: ウラジオストク), ハバロフスク州 (州都: ハバロフスク), サハリン州 (州都: ユジノサハリンスク), レニングラード州およびサンクトペテルブルク*1, カリーニングラード州. どこも8日間 (正確には24x8=192時間) 以内の滞在, 特定の検問所でのみ入出国手続き可能, 他の地域への越境は不可, という制約がある. 詳しい話は当局のサイトを見てほしい.

申請する前に, 宿泊地を決めなければならない. 申請書類に宿泊地を記入しなければならないからだ. booking.com でも適当なとこでもいい. ロッテなどのグローバルな大手資本のホテルは高いが, ドミトリーやカプセルホテルもいくつかある (しかしこれだけ観光客が急増すると供給が追いつかなくなって値上がりするかもしれない).

ウラジオストクの場合は電子ビザ申請画面の日本語版もある. 申請は, 沿海地方 (英語表記は Primorsky Kraj) とする. 発行される電子ビザの書面には, なぜかどこの州への滞在許可が出ているのか書かれていないので, ここで間違えると後から確認するのが難しい. また, 在露日本領事館によれば, ビザ申請時に姓名の表記順を逆にしてしまったせいで, 入国拒否された事例があるらしい まあこのへんは既に色んな人が詳しく書いてるのでそっちを参考に..

電子ビザ申請に必要な顔写真は, パスポートの写真を使った. ギリギリ6ヶ月以内の撮影だし, パスポートと同じ写真を使ってはならないとは書かれていなかったので流用させてもらった.

従来のビザ申請書類はフォント埋め込みがなくうまく印刷できないことがあるという話を聞くが, 今回発行された電子ビザはフォントが埋め込まれていたのでコンビニのネットワークプリントサービスでも印刷できた.

電子ビザは申請から4日以内に可否の結果が出る.自分は木曜日に申請して土曜日に許可が出た. 土日も業務があるのだろうか?*2 なので「4営業日以内」ではなく本当に「4日以内」らしい.

予め用意しておくと役に立つアプリ

地図アプリ

Google Map は以外とロシアの情報が乏しい. ロシア国内では, Яндекс (Yandex; ヤンデックス) という検索ポータルサイトGoogle のような立ち位置になっている. そのヤンデックスが開発した Yandex Map (Яндекс Карты) はバスの乗り換え情報などが Google Map よりも豊富なので, 事前にインストールしておいたほうが良い. ただし, インターフェイスは日本語には対応していないので英語かロシア語表示で使うしかない. 地名などはロシア語で検索しないとヒットしない場合がある. さらには似たような地名の全く別の場所もあったりするので, よく確認しながら使ったほうが良いだろう. ユーザー登録すると場所のお気に入り登録ができるので, ぜひしておこう (自分はやるのがめんどくさかったが, やったほうがめんどくさくなかったと思われる). 操作方法にも若干クセがあるので, 出発前に試しておいたほうがいいだろう.


Yandex.Maps and Transport

Yandex.Maps and Transport

  • Yandex LLC
  • ナビゲーション
  • 無料

その他, Yandex Transport という乗換案内アプリもあるらしいが, 私は使わなかった.

タクシーアプリ

ロシアで使える主要なタクシーアプリは gett と Yandex Taxi. ウラジオストク市内には Uber Taxi も走っていたのだが, 日本で登録した Uber はなぜか使えなかった.


Yandex.Taxi

Yandex.Taxi

  • Yandex LLC
  • 旅行
  • 無料


Gett - The Best Black Cabs

Gett - The Best Black Cabs

  • GT Get Taxi Ltd.
  • 旅行
  • 無料

sim フリー端末

私は海外用 wifi のみ使うつもりで, sim フリー端末も用意しなかったのだが, タクシーアプリはロシア国内の電話番号で登録しないと使えない場合があるようだ. ロシア語で交渉するのがめんどくさいのなら, 現地の sim カードを使える端末を用意したほうが良いと思われる.

懐中電灯

ウラジオストク市内は坂が多く, また主要道路以外にはあまり街灯がなく, 舗装が痛んだままになっているところも多い. そのため日没後に歩いて足をくじかないように懐中電灯を用意したほうが安全だと思う.

おすすめ情報源

http://urajio.com/

割と頻繁に更新しているので役に立った.

空港と市街地

私は成田-ウラジオストクアエロフロート航空の便 (実際には子会社のオーロラ航空のコードシェア便) を利用した. なお乗客のほとんどは日本人だった. ロシア人は半分もいなかったと思う. フライト時間は2時間半. 北海道や韓国へ行くのと大差ない.

入国審査所では, ПАСПОРTНЫЙ КОНTРОЛЬ/PASSPORT CONTROL と書かれたブースが5つほど並んでおり, 適当に順番につく.

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空港の入出国審査所の例 (出国時) (タス通信 より)

外国人・国民と言う風に分かれてはいなかった. 在ロシア領事館のサイトでは「入国審査官は英語をほとんど解さない」などと書いているが, 実際ほとんど話せなさそうだった. 順番が来ると審査官が手招きのジェスチャーをするので待っている. 書類が多いので, 審査官は手元で長時間ゴソゴソと作業する. 出国時もそうだったので時間には余裕を持ったほうがいいだろう. もろもろの確認が終わると*3, ミグレーションカードを渡され「サイン」とだけ言われる. カードと言っても普通の紙に書面をコピーしただけのものだ. 2箇所 ”signature“ と書かれている欄があるので, 両方にサインして返すと半分に切断し片方を返される. ぞんざいな扱いだが, これは出国審査に必要なのでパスポートおよびビザと同様に大事に保管する.

空港内

よくある地方空港のように, チェックインカウンターは1階にある. また, 日本と違いロビーに入るだけでもセキュリティチェックが必要である.

空港のロビー1階中央のエスカレーター横には ATM がある. 現金は少額に分けたほうが使いやすいので最初は1000ルーブルずつ引き出していたが, 実は1万ルーブル以上引き出す際は, 100ルーブル何枚, 200ルーブル何枚, と細かくして出金するオプションがある. 私が使ったのは Банк «Восточный» (バンク 〈ヴォストーチニー〉; 東方銀行) の ATM である. 迎えに来てくれたタクシーの運転手に, この銀行の ATM が便利だとオススメされた. 他の銀行の ATM にも同様の機能があるかもしれない.

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空港内の ATM. 左から2番目の ATM を使った.

3階ロビーの土産物屋に混じって「日本製品の店」が存在していた.

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出発ロビー前にある「日本製品」の売店

なぜ日本? と居合わせた見知らぬロシア人も訝しんでいた. 画像を見て分かるように, 日用品が無造作に置かれていたり (カイロや洗濯バサミはまだ分かるがアク取りシートは何のために?), 韓国製品が混じっていたりコンセプトがよくわからない店だった. しかしプラグ変換器が置いてあるので, 万が一C型変換器を忘れたときは役に立つかも知れない.

帰国時

先に帰国時のことも書いておく. アエロフロート (オーロラ航空) の帰りの便は午前中なので, 早朝に出発して空港で朝食を取る予定だった. しかし, 有名なスタローヴァヤ, «ПОЛЕT» (パリョート; 英語名 Flight) はもはや利用できなくなっていた. 看板が塗りつぶされている.

tripnote.jp

しかし, それでも一抹の期待を持って利用できないかとどう見ても職員用の出入り口に入っていく観光客が私を含め数人いた. 他にも数人, 私と同じ目的地を目指す人間を見かけた. そもそも職員用通路を使わせるのは防犯上の問題はないのだろうか (職員とも何度かすれ違ったが, 特に咎められなかった)? ちなみに ПОЛЕT までは階段を降りたり入り組んだ通路を通ったりする必要がある.

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壁や床のあちこちにスタローヴァヤへ誘導する矢印がある.

仕方なく, ロビーにあるカフェテリアで食べることにした. こちらもスタローヴァヤの形式に近いが, 相場よりもやや高いらしい.

国際線チェックインカウンターは正面から向かって左側だが, 時刻表は右側の国内線のカウンター付近にあるディスプレイのほうが多く表示される. また, アエロフロートの発券機も国内線のほうに2台設置されている. しかし片方は故障している. ネット上でも数ヶ月前に旅行した人がやはり, 片方故障していたと書いていたのでずっと放置されているようだ.

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発券機. 左側はずっと故障中

保安検査と出国審査を受けた後の制限エリアは, 地方空港のためさほど賑わっていない. ウォッカやお菓子などを扱う土産物屋1件, カフェ1件, 高級ブランド品を扱う, どこの空港にもありそうな店が1件づつと, 小規模である. 土産物は制限エリアに入る前になるべく買っておこう. 国内線のほうがどうなっているのかは不明.

空港から市街地へ

空港は出る際は何もないが, 入るときにはボディチェックと荷物検査がある (いわゆる保安検査だけでなく, ロビーに入るときにも検査が必要).

空港内部の雰囲気は以下のページが参考になる.

4travel.jp

ウラジオストク国際空港は市街地から 50 km 近く離れている. そのため徒歩で移動するのはまず無理である.

  • 電車 (Аэроэкспресс; アエロエクスプレス)
  • タクシー
  • バス

電車

アエロエクスプレスという電車が空港と市街地 (ウラジオストク鉄道駅) を結んでいる. しかし日に5本程度しかない.

なお, 空港の公式サイトも独自にアエロエクスプレスの時刻表を掲載しており, 英語や日本語版ページも用意していて便利だが, 実は英語版や日本語版はたまに時刻が間違っているという罠がある. できればロシア語版で確認しよう.

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ウラジオストク駅にあった当時の時刻表. 左がウラジオストク発, 右がウラジオストク着で, 赤字が空港行き

当時は最終が 17:40 発で, 今回私が利用したアエロフロート SU 5480 便の到着とその後の手続きを考えると, 間に合わなさそうなので事前にタクシーを手配しておいた.

帰国時は, ウラジオストク鉄道駅からアエロエクスプレスに乗って空港に行くこともできる.

入り口の端末で切符を買うこともできるが, メールアドレスとか電話番号の入力が必要らしく面倒なので係員から買うことにした. 入り口に入ってすぐ, 金属探知機で検査を受ける (プラットフォームには他の場所からも入れるのだが, これに意味はあるのだろうか?). その後で係員に切符を注文する. 料金は, 通常席が 250ルーブル, ビジネスクラスが 380ルーブルなので, 距離を考えると日本と大差ない料金だ. ビジネスクラスと言っても席が少し広くなったり, 謎のリラクゼーション映像が流れたり, 水が飲み放題だったり, 新聞が読めたりするだけだが... たった130ルーブルの違いなので, 記念にビジネスクラスに乗ってなんとなくリッチな気分になるのもいいのかも知れない. なお, アエロエクスプレスの切符はレシートみたいな紙切れなので, 誤って捨てないように. 行き先は「ウラジオストク国際空港」ではなく, 旧称であるクネヴィチ空港 (АЭРОПОРT КНЕВИЧИ) と表記される.

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アエロエクスプレスの切符

終点の空港には直結している. ただし, 空港のロビーに入る際には例によって検査を受ける必要がある.

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アエロエクスプレスのビジネスクラス車両

タクシー

白タク運転手の勧誘はここでもある. タクシーセンターで頼んだほうがいいだろう. もしくは gett や Yandex Taxi を使おう.

なお, 近年は自家用車の急増により, ウラジオストク市街地は夕方~日没の時間帯にひどい交通渋滞が発生する. 乗用車のほとんどすべてが日本製でかつ右ハンドルなので, 海外向けのモデルではなく日本の中古車だろう (パトカーですら中古車のようだ). これだけ普及しているということは, ロシアの物価水準でも日本の中古車はかなりリーズナブルな値段なのだろう. 自分の乗ったタクシーもプリウスで, 日本語表示のカーナビ画面が停止したままだった (ロシアでは当然使えないので運転手は地図を表示したスマホを固定していた).

バスとタクシーは実際の所要時間+30分くらいを見積もったほうがいいだろう. 渋滞中は手持ち無沙汰なのでタクシーの運転手と雑談が始まった. 運転手いわく, ウラジオストクで一番天気が良く過ごしやすい時期は9月だから今の時期に来て正解だとか, 「日本は暑いのか? 30度? 自分はバクー (アゼルバイジャンの首都) 出身だが夏は40度を超えることもあるぞ, ちなみにロシアでは40度を超えるような気温を『インドのような夏』というんだ」などとという話をした. コーカサス地方はおそらく乾燥しているだろうから高温でも不快感は少ないだろうが, 湿度が高い日本の夏は想像よりも暑く感じるはずだ, と咄嗟に言える語学力はなかった.

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日本国内で撮ったと言っても疑われなさそうである.
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9割方が日本の中古車である
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夕方の市内中心部はここまで渋滞する

バス

バスも当然あるが, 利用してないので詳しいことはわからない. なお, 別のセクションで書いているがウラジオストクの路線バスはかなりボロく, バリアフリー設備など望むべくもないので, 荷物が多いときは要注意である. マルシュルートカならば比較的新しい車両が多い.

言語

英語は通じない

ほぼ通じない*4. 私も滞在中に英語を話す観光客を一度しか見かけなかった. 特に極東地域では英語に触れる機会がほとんどないので, ロシア人は英語が苦手であると思われる*5 . 最初から英語で話してくれたのは空港内で土産物屋をしている店員くらいだった. 私が空港で乗ったタクシーの運転手も基本ロシア語しか話せず, 私が聞き取れなかったフレーズは Google 音声翻訳を使って英語に翻訳してコミュニケーションを取ってくれた. 空港以外では, 一定のグレード以上のホテルや観光客に人気のあるレストランなら英語ができる人は多少いるが, それ以外の場面ではあまり通じないと考えたほうがいいだろう (そもそもレストランなら英語メニューを用意してくれる場合が多いので, 最悪指差しだけでなんとかなる. 本当に困るのは込み入った話を伝える必要に駆られたときだけだろう.).

売店やスーパーの店番にはそこまで丁寧な対応を期待してはならない (これはロシアに限らず日本国外ではどこも共通だとは思う). ロシア語でまくしたてられることが多いが, こちらも頑張ってロシア語でコミュニケーションを取ろうとすればわりと親切にしてくれる*6.

ロシア人は仏頂面であることが多いが, それは赤の他人に愛想笑い・営業スマイルをしたり慇懃に振る舞ったりする習慣がないだけであって, 機嫌が悪いわけでも, あなたを特別に毛嫌いしているわけではない (たぶん). むしろ見知らぬ通行人が向こうから絡んでくることもある. 以下は今回の旅行中に絡まれた詳細情報.

  • 知らない10代くらいの女の子に髭を引っ張られそうになった
  • 知らない男性と持っているデジカメがかぶっていたので「いいカメラだな」と褒められた (向こうはこちらがロシア語を理解している前提).
  • バスに乗ったら知らない老婆に挨拶される.
  • 宿泊施設の廊下で鉢合わせした清掃係のおばさんが世間話をしてくる (向こうはこちらがロシア語を理解している前提). ちなみに清掃係のおばさんもたいてい仏頂面だが, こうやって話しかけてくることから別に機嫌が悪いわけではないことが分かる.

日本人ならば街中で知らない人に声を掛けるとき, 「すみません」とか断ってから切り出すが, ロシア人はおそらくそうしない. 路線バス内では赤の他人と思われる人にバスの行き先を尋ねるのを見たが, 切り出した方は申し訳無さそうにしないし, 相手もスマホでゲームかチャットをしながら視線も合わさず返事をしていた. そして質問の答えを得たほうも, 特に礼も言わずに去っていく. ロシアではこれが常識であり, 失礼には当たらないのだろう.

なお, ロシア滞在経験の長い人間のいう「時間をたずねてくる老婆に何度も出くわす」「くしゃみをすると赤の他人でも『おだいじに!』と叫ぶ」などは残念ながら体験できなかった.

看板のロシア語を読めるようにする

ウラジオストクは観光客向けに日本語看板を出しているところもあるが, 一部のレストランや土産物屋だけである. むしろロシア語以外では中国語やハングル*7のほうが圧倒的に多いので, これらが分かる人は便利かもしれない. ロシアの商店の特徴として, 外装にあまり頓着しない傾向があり, また古い建物は大きく窓を取らないため中の様子がわからず (そして古ぼけた外観からは想像もつかないほど, 内装にこだわっていたりする), 一見して何の建物なのかわからないことが多い. しかし, 一部の高級店やチェーン店を除いて, 店名ではなく何の店かをあらわす最低限の情報だけの看板を出していることが多いので, 書かれている単語を読めればだいたい何の店かがわかる. Yandex Map の検索も捗るだろう. 看板はたいてい全て大文字なので, 以下も原則大文字で表記する (キリル文字の小文字は大文字をそのまま小さくしたものが多いので, 小文字でも見た目はあまり変わらない).

ただし, ロシア語は各変化がある言語なので, 文脈によって語尾が変化する. よって語尾は変化したり, 文字が増えたりする.

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靴 (ОВУВЬ) 屋. アパートの部屋や地下室を改装して店にしていることも多い.

  • レストラン: «РЕСTОРАН» (レスタラーン).

    • 中華料理レストランなら, КИТАЙСКИЙ (キターイスキー), 韓国料理なら КОРЕЙСКИЙ (カリェーイスキー), グルジア (ジョージア) 料理なら ГРУЗИНСКИЙ (グルズィーンスキー), 日本料理なら ЯПОНСКИЙ (イポーンスキー) という形容詞が頭に付く.

    • カフェ: «КАФЕ» (カーフェ). 我々の感覚ではレストランだと思えるような店でもカフェを名乗ることが多い. ちなみにコーヒーは кофе (コーフェ) という. コーヒーが飲みたい場合はコーヒーカップの絵や, кофе と書かれている看板を探したほうがいい.

  • スタローヴァヤ: «СTОЛОВАЯ» カフェテリア形式の大衆食堂. 辞書的な意味としては必ずしもカフェテリア形式に限らないが, この看板を出していればおそらくカフェテリア形式である. このような形式の飲食店はソヴィエト時代に普及したらしい. レストランと比べると安い.

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    スタローヴァヤの看板の例

  • 土産物: «СУВЕНИРЫ» (スヴェニールィ) 英語の souvenir から.

  • ルーブル: 値札やレシートには Р (エル) という記号で書かれていることが多い. それ以外では РУБЛЬ (ルーブリ), РУБЛЯ (ルブリャー), あるいは РУБЛЕЙ (ルブリェーイ) と書かれる. なぜ3種類もあるかというと, これは数変化があるからなのだが, ロシア語の文法を格変化と数詞から説明する必要がでてくるので詳しくは省略する.

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    コインに見る複雑なロシア語の数変化
  • バスタクシー: «АВTОБУС» (アフトーブス), «TАКСИ» (タクシー). ただしバス停はバスの絵が描かれた看板か, いかにもバスの待合所のようなシェルターがあるのでこの単語自体はあまり見かけない. バスに関する詳しい話は後述.

  • ホテル: «ГОСTИНИЦА» (ガスチーニツァ), まれに «ОТЕЛЬ» (アチェーリ). 後者はフランス語の «Hôtel» (オテル) から. 日本人同様, ロシア人も外国 (特に仏・英) 風の響きに高級さを感じるため, 外国語風の名前が好まれる. ちなみに гость (ゴースチ) は客, ”guest“ という意味で, ГОСTИНИЦА もこれに由来する. とはいえ, 宿泊施設は HOTEL とか HOSTEL とか英語で看板を出しているところがほとんどだろう.

  • 博物館美術館: «МУЗЕЙ» (ムゼーイ).

  • 寺院: «ХРАМ» (フラーム).

  • 空港: «АЭРОПОРT» (アエロポールト). 英語の airport のまんま.

  • 記念碑石碑: Памятник (パミャートニク), Стела (スチェーラ).

  • 売店 (雑貨店): «МАГАЗИН» (マガズィーン). 英語の magazine に由来するが, ロシア語では雑貨店, ひいては小規模な小売店を意味するようになった. МАГАЗИН の前後に形容詞や名詞をつけて, ○○の店, という看板を見かけるが, 何を売ってるかだけを表して МАГАЗИН という単語は省略されていることも多い.

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    ウラジオストク鉄道駅向かいのスーパーマーケット
    • ミニマールト (MИНИMАРT) という単語 (固有名詞?) もある. 英語の minimart と同じである.

    • スーパーマーケットは «СУПЕРMАРКЕT» (スペルマールケト).

    • 百貨店 (デパート): УНИВЕРМАГ (ウニヴェルマーク). универсальный магазин の略称. универсальный は英語の universal に由来する. ГУМ (グム) という名前もよく知られているが, これは固有名詞.

  • 食料品: «ПРОДУКТЫ» (プラドゥークティ). 英語の products に由来する単語だが, ロシアでは食料品だけを指す言葉になっている. 観光地にある店ならパンや飲み物, お菓子, 缶詰, 魚の干物など加工食品を売っていることが多い.

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    ウラジオストク鉄道駅の近くの食品店
  • ミネラルウォーター, 炭酸水: минеральная вода (ミネラーリナヤ・ヴァダー), газированная вода (ガズィラヴァンナヤ・ヴァダー). ミネラルウォーターは炭酸水も含むという認識の人が多いので, негазированная вода (ニガズィラヴァンナヤ・ヴァダー; 炭酸でない水) を探したほうがいいかも知れない. 飲用水を買うときはこの単語を探せば炭酸なのかどうかがわかるだろう. 単語が長くて覚えづらいかも知れない. газированная の先頭の газ (ガース) はそのまま, 英語のガス, gas に由来することを知っておけば覚えやすいかも知れない. また, レストランでは水ではなくレモネード (ЛИMОНАД リマナート, 複数形は ЛИMОНАДЫ リマナーディ) を勧められることが多い. レモネードと言っても, ロシアではレモネードをベースに果汁で味付けしたものであることが多く, たいてい何種類も用意されている. 実質ジュースである (ちなみにジュースは сок; ソーク と言う). スプライトやコカコーラもたいていのレストランで用意されている.

  • トイレ: «TУАЛЕT» (トゥアレート). ロシアでは野外の公衆トイレは少ない. あっても木造の非常にボロくて不潔なものか, 日本でもイベント会場や建設現場にあるような仮設トイレをたまに見かける程度である. このタイプのトイレはたいてい集金係が待機するブースが付属しており, 20ルーブルの使用料を払う (20ルーブル以外の使用料のものは私は見ていない). アルセーニエフ博物館内のトイレは壁が本棚になっているという斬新なデザインだったが, 男子トイレの中もかなり斬新だった (何が斬新かは行って見てのお楽しみ).

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    ウラジオストク鉄道駅前の広場にある公衆トイレ. 使用料 20Р と書かれている
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    アルセーニエフ記念沿海地方立歴史博物館内のトイレ
  • 鉄道駅: «Железнодорожный вокзал» (ジェレズナダロージュニイ・ヴァグザール). 単に ВОКЗАЛ とも. 特に長距離列車の駅をこう呼び, 近郊線や地下鉄の駅 (Станция; スターンツィヤ) とは区別される. 看板では «Ж/Д ВОКЗАЛ» と略されることも多い*8.

  • 出入り口: «ВХОД» (フホート; 入口)/«ВЫХОД» (ヴィホート; 出口) はバスのドアや商店などあちこちで見かける. 防犯上の理由で, スーパーなどでは入り口・出口が決められていることが多い.

    • ドアは, 「引」の場合は «НА СЕБЯ» (ナセビャー; 直訳すると「自分の方向へ」), 「押」の場合は «ОT СЕБЯ» (アトセェビャー; 直訳すると, 「自分の方向から」)と表現する.

  • 止まれ: «СTОП» (ストープ). 英語の STOP をキリル文字に置き換えただけである. ロシア語にも当然止まるという動詞はあるのだが, 標識はたいてい СTОП と書かれている.

  • 閉店・休業中: «НЕ РАБОTАЕT» (ニラボータエト). 直訳すると「動いていません」という意味. 閉店・休業中だったり故障中だったりするとこう書かれている.

  • 注意: «ВНИМАНИЕ» (ヴニマーニエ). 注意書き. 危険を促す看板に書かれる.

  • 禁止: «ЗАПРЕЩЕНО» (ザプレーシェナ). 軍事施設や危険地帯などにはこの看板がある. 立ち入り禁止ということ.

  • 禁煙: «НЕ КУРИTЬ» (ニクリーチ). ピクトグラムも併記されていることが多いので読めなくても困らない. そして日本同様, 必ずしも守られているわけではない. (禁煙と書かれたすぐ隣に喫煙所があったりする. 謎.)

  • 罰金: «ШTРАФ» (シュトラーフ). 上記禁煙の看板に併記されていることが多い. 偽警官や不良警官が旅行者を騙し罰金と称して金銭を巻き上げることが昔はよくあったらしい.

  • 警察: «ПОЛИЦИЯ» (パリーツィヤ). パトカーや警察官の制服の胸・背中などに書かれている. なおロシアの警官や軍人は撮影禁止である. たまたま写り込んだくらいならいちいち文句を言われなさそうだが, 狙って無断撮影すると怒られる可能性がある. (しかしネット上には普通に撮影したものアップロードしている人がけっこういる)

  • 警備員守衛: «ОХРАНА» (アフラーナ). スーパーやその他商業施設の人の出入りの多い場所などにはたいてい1人は張り込んでいる. そういう人間の着る制服にはこう書いてある. 書いてないこともあるが, だいたい黒っぽい服で警棒を腰に指し, 同じ場所を動かずずっとあたりを睨みつけたり暇そうにしたりしているので警備員だとすぐ分かる.

その他, 観光客はほとんど利用しないだろうがよく見かける看板. 意味を知っていればさらに観光を楽しめるかもしれない.

  • : ЦВЕТЫ (ツヴェーティ). 複数形. ロシアには24時間営業の花屋が多い. そういう店は 24 ЧАСА (24時間) という看板も出している.

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    24時間営業の花屋 (といいつつこの店は昼間しかやっていない)
  • 野菜果物: ОВОЩИ (オーヴァシ), ФРУКТЫ (フルークティ). どちらも複数形. ロシアでは小分けにして売られているものはあまり見ないので, 観光旅行では買う機会はほとんどない.

  • 修理: РЕМОНТ (リモーント). 修理屋も多い. たいていは靴 (ОБУВЬ; オーヴフィ) や車 (MАШИНА; マシーナ) を修理する店である.

  • ケーブルカー: ФУНИКЛЕР (フニクリョール). ウラジオストク市内には一箇所しかなく, 一見してケーブルカーと分かるので読めなくとも困ることはない.

  • 大学: «УНИВЕРСИTЕT» (ウニヴェルシチェート). ウラジオストク市内には, 極東連邦大学をはじめいくつかの大学がある.

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    極東連邦大学の施設
  • 薬局: «АПTЕКА» (アプチェーカ). 長期滞在するのなら必要になることもあるだろうが, 電子ビザでウラジオストクに訪問するなら数日程度の滞在だろうから, お世話になることは少ないだろう.

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    ГУМの隣の薬局

時刻・スケジュール関係

時刻は英語圏のような 12時間表記ではなく, 24時間表記が多い. 一方で, 曜日はロシア語である. 営業時間やバスの時刻表では略称で書かれることが多いので, 一覧を書いておく.

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営業時間表示の例
日本語 ロシア語 略称 発音
日曜日 воскресенье Вс ヴァスクリセーニエ
月曜日 понедельник Пн パニジェーリニク
火曜日 вторник Вт フトールニク
水曜日 среда Ср スリダー
木曜日 четверг Чт チトヴェールク
金曜日 пятница Пт ピャートニツァ
土曜日 суббота Сб スッボータ

例えば「月曜から金曜」 ならば Пн-Пт などと書かれる. ПН-ПT のように2文字とも大文字の場合もある. また, 日付は <日>, <月>, <年> の順で書くことが多い. 月は数字の場合もあれば, 月名の場合もある.

日本同様, 平日と休日で分ける場合もある. ежедневно は毎日, つまり平日休日関係なく同じ, робочие дни は直訳すると「労働する日」つまり平日, выходные は週末という意味で使われる. праздничные は「祭りの」という形容詞で, つまり祝日である. выходные и праздничные дни などと書かれていれば 休日・祝日ということになる.

略称

ロシア語の省略の仕方は多種多様である. すでに紹介したように, 曜日は先頭の子音2つだけに略される. 「鉄道駅」は Ж/Д ВОКЗАЛ と合成語を分割した上でそれぞれの頭文字だけ残している. ウラジオストク (ВЛАДИВОСTОК) も時刻表などで表記すると長いので, Вл-к と略されたり, しまいには В. だけになってしまう.

これらに注意してこの記事や参考文献として挙げたページにあるロシア語を読むと, 予行演習になるかもしれない.

交通手段

路面電車はほとんどない

数年前まではいくつもの路面電車 (трамвай; トラムヴァーイ) が市街地を走っていたらしいが, 現在では1路線しかない. おそらく急激な自家用車の増加が関係しているのだろう. そのため市街地では車道が妙に広く, ところどころに線路の残骸が見える. 現在残っている路線も観光地からは外れているので, 観光客にとっては乗ることそれ自体が観光目的になるだろう.

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市内唯一の路面電車路線
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ウラジオストク鉄道駅前の道路に路面電車の痕跡が残っている.

また, ケーブルカー (フニクリョール) が一箇所だけある. これは鷲ノ巣展望台に登るためのものだが, むしろ麓側に行く機会がないので, ケーブルカーに思い入れがなければ普通にバスで行ったほうが楽である.

バスの乗り方

出発前に確認した日本語情報では, 市内路線バス運賃がどれも違ったのであまり当てにしないほうがいい. おそらく頻繁に改定されている. 実際, 私が訪問したときは 23 ルーブルだったが, 10/1 からは 28 ルーブルになったようだ. とはいえ, 日本円で50~60円程度なのでかなり安い. 市内のバスならばどこで乗り降りしても同一料金である*9. また, 現金のみでクレジットカード・電子マネー決済などもできない*10. また, 中心部ならば5~10分に一度のペースでバスがやってくるのでかなり便利だ. しかし, それなりの代償はある.

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バス料金変更を知らせる張り紙 (現在はさらに変更されている)

難関1: バス停がわかりにくい

バス停はシェルターや看板があるのだが, これも老朽化していたり看板がなかったりすることも多い. そしてバス停の名前も書いていない. 時刻表も時刻が書かれてたかと思えば「XX分間隔で」と書かれていたり, 略号が使われていたりとかで, ある程度ロシア語に慣れていないとわかりづらい. さらには時刻表に書かれていないバスが到着したり, 時刻表がないところも多い (おそらくはダイヤ改定が反映されていない). また, 市内は渋滞しやすいので時刻通りに来ないこともよくある.

バスの系統番号はだいたい数字だが, たまに 7т みたいなのもあったりする. 基本的に, バスの正面上部に路線番号が, 側面 (歩道側) に番号と行き先リストが書かれている. 何番というのを表記する際には英語のように № という記号を使うことが多い.

ウラジオストク市内ならばだいたいのバスがウラジオストク鉄道駅に停まる. どうしてもわからなければ, ж/д вокзал と書いてあって駅の方面へ走っていればあればおそらく駅で停まるだろう.

バスに混乱しないためにも, Yandex Map はやはりぜひとも用意しておきたい. ルート検索でバスを選ぶと「あと何分で到着」といった情報が表示されたり, バス停に書かれているダイヤよりも, Yandex Map の検索結果が正しいことが多かった.

また, 多くのバスが止まる停留所は, バスで渋滞することが多い. そのような場合は, 停留所の後方の離れたところに停まったり, 二重駐車したりする*11. こういうときは待っている客が見落とさないようにクラクションを鳴らしてくれる.

ところで, ロシアの路線バスは2種類ある. 大型の2ドアバスと, バンを少し大きくしたような車か, マイクロバスくらいの大きさの маршрутка (マルシュルートカ) がある. ウラジオストク市内ではどちらも料金は同じだ. バスもマルシュルートカも決められたルートとダイヤに沿って走行し, 停留所で乗客を降ろしたり乗せたりするが, 後者は停留所以外でも降りたいタイミングで申し出れば降ろしてもらえるという違いがある, らしい (試したことがない). しかし, 大型の路線バスでもひどく渋滞しているときに乗客の一人がここで降りると言い, 停留所でないのに降ろしてしまうのを見たことがあるので意外と柔軟なのかも知れない. なお, マルシュルートカは Yandex Map では ”minibus,“ Google map では「乗り合いタクシー」と表記される. マルシュルートカは路線バスのようだが, 「ルート通りに走るタクシー」という意味の名前なので「乗り合いタクシー」でも間違えではない. 市内では路線バスとして時刻通りに運行するマルシュルートカがほとんどだが, 郊外や近隣の自治体へ行く場合は乗客が一定数集まり次第出発するタイプもあるらしい.

入り口には ВХОД (フホート; 入口) と書かれている. 2ドアバスも前後どちらからも乗れるようだが, 降客は前から出てくるので, 後ろのドアから乗ったほうがいいだろう*12. ちなみに基本的に発車してからドアを閉めるのでドア付近にいて振り落とされないように注意.

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マルシュルートカの内部より. 市内のバスターミナルの1つ, Семеновская (セミョーノフスカヤ) に停留しているところ

難関2: バスがボロい

中国や韓国製の中古のバスを使っている (自家用車は日本の中古車が圧倒的に多いが, 日本製のバスだとドアが車道側になってしまうのでさすがに使わないらしい). 車内は吊革が壊れていることがしょっちゅうだ (なので吊り革を垂らしている棒を握る). 道路も悪く, 中古車ゆえサスペンションが劣化しているためけっこう揺れる. 座席のクッションも弾力性が失われつつある. 車体の外装のカラーリングもデザインも全く統一感がない. 路線番号が書いてあるか, パックツアー用の貸切バスでないか, 気をつけなければならない (ЗАКАЗНОЙ, ザカーズナイと書かれているバスが貸切バスだが, 読めなくともツアー用のバスはだいたい他よりきれいなのですぐ分かる).

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特にボロかったバス

難関3: 降りる場所がわからない

停留所のアナウンスは基本的にはないと考えたほうが良い. まれにスピーカーが付いていてアナウンスしてくれるバスがあったが, スピーカーがあっても壊れているのかうんともすんとも言わないものもある. 現地の老婆がバスの入り口から, «— ехать?» (○○へは行くの?) と聞いてくる場面を何度も見たので, 路線もよく変わっているのかも知れない. また, 日本のバスと違い降車ボタンもない*13.そういうわけなので, Yandex Map のリアルタイム位置確認をしたり, 何番目の停留所で降りなければならないか覚えておく, などの対策が必要になる. 降車ボタンがないので, 乗り降りに関係なく停留所には必ず停まるようだ. とはいえ降車ドアに近づいて降りる意思を見せないとすぐ発車する可能性はある. 基本的に降車は前のドアである. ВЫХОД (ヴィホート; 出口) と書かれている. 降りる際に運転手に料金を払う. だいたい運転席のそばに台があって, そこにお金を置く. 釣り銭が必要なら手渡しされるが, 台の上に小銭を置きっぱなしにしている運転手もいて, 自分で勝手に釣り銭を取っていく乗客もいる. いいのか. 運転手は釣り銭を大量に持っているので, 100ルーブル紙幣などでもお釣りをくれる. 海外では額面の大きな紙幣で払うと「もっと細かい額はないか」と文句を言われるという話をよく聞くが, 今回の旅行ではバスに限らずほとんどそう言われることはなく, 淡々と釣り銭を数えて渡してもらった.*14. よって料金がいくらなのか確信を持てない場合は, 50ルーブルや100ルーブル紙幣を出すのもあり. ただし, 高額すぎると数人分をまとめて払うのかと思われて «Сколько?» (スコーリカ; 何人分?) などと訊かれることがあるので注意. 既に書いたように, 運賃はよく改定されるようだ. 車内にはふつう料金表示がある. поезд (この単語は乗り物と言う意味だが, 「乗り物の運賃」の「運賃」の部分が省略されて) という単語の後に数字が書いてあれば, おそらくそれが運賃だろう.

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マルシュルートカの出口

最後に一応, アナウンスの定型文も書いておく. 発車直後は,

«Следующая остановка, XXX (- конечная).»

「スレドゥーユシャヤ・アスタノーフカ, XXX (- カニェーチナヤ).」

「次のバス停は, XXX, (終点です).」

と言う. конечная は終点のときだけそう言う. たまに補足説明が後に続いたりする.

停車時には停留所名だけを言う.

買い物

ロシアではクレジットカードの普及率が低いという日本語情報があるが, 少なくともウラジオストク市内ではほとんどのレストランやスーパーでカードが使えた. 小さな商店でもカード読み取り端末がある. 読み取り端末が非接触型決済用端末であることも珍しくないので, タッチ決済対応カードがないと使えないかも知れない. ロシア語ではカードは карта (カルタ) という. クレジットカードも, sim カードもカルタ (シム・カルタと発音していた) である. 単にカルタと言えばその時の文脈で通じるだろう.

カードが使えないのは露店やキオスクとバスくらいだった. 博物館の入場料は, 使えるところと使えないところがあった気がする. ただし, ここはアメリカではなくロシアなので American Express は全く使えない. Diners も使えない. VISA か MasterCard を用意しよう.

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ズベルバンク, VTB などのメガバンクをはじめカード決済サービスを提供する企業は多彩だ

昔は「高額紙幣で払おうとすると, 両替するから待ってて, と言われ隣のレジに, それでも足りずに隣の店へ‥‥」とか「お釣りが足りないので代わりにガムをもらった」などということがあったと噂されているが, 今回私はそのような体験をしなかった. ミネラルウォーター1本買うのに5000ルーブル札を渡したりすればさすがに文句を言われるかも知れないが.

スーパーで買い物するときは, もう1つ覚えておいたほうがよい単語がある. пакет (パケート) である. これは英語の packet と同じで, 包装を意味する. 会計のときにパケートがどうこうと言われたら, おそらく包装するかどうかを聞かれているので да/нет ですみやかに答えよう.

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郵便局内にあるスーパーの陳列棚

食事関係

レストランと大衆食堂

「レストラン」という看板を出している店は比較的値段が高いが, とはいえ日本の一流高級レストランほどではない*15. しかし, 作法は高級レストランのように, 食べ終わってから店員に会計をお願いして初めてバインダーに挟まれたレシートをもらう形式になっている. ロシアではチップの習慣はあまりないようだが, 会計のときに1割程度心付けをしておくのが粋だとされている, らしい*16. バインダーに代わりに代金を挟んでおくと, そのうち店員が受け取りに来る. お釣りがチップとみなされる. カードで払う場合はカードとは別に現金を挟んでおけばチップとみなされる. 代金さえ置いておけば勝手に店を出ていってもいいらしいが, 自分は何か手違いがあるのが怖くて店員が取りに来るまで待っていた. なお, スタローヴァヤ等は夜8時くらいで閉まるところが目立つが, レストランを名乗る店は昼頃から開店し24時までやっているところがほとんどだった.

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チップ歓迎とのこと
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このように挟んで置いておく.

一方で, スタローヴァヤやファストフード店, コーヒーショップなどはおそらくチップはいらない. 先払いの店はチップ不要, 後払いの店はチップ推奨, くらいに覚えておくといいかもしれない.

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ロシア・バルト海周辺国に展開しているフィンランド発のバーガーショップ, HESBURGER. 作法はマクドナルドなどと同じである.

自分が訪問したレストランは以下の通り. ほとんどはトリップアドバイザーなどの口コミサイトや『地球の歩き方』にも載ってるような有名所なので, 意外性はない. 店員は必ずしも英語が得意でなさそう*17が, 私の会ったタクシー運転手のように google 音声翻訳を使ってコミュニケーションを取ろうとしてくれた, という情報もあるので, 接客は丁寧であると思う. また, 観光客向けレストランなら少なくとも英語, 場合によっては中国語・韓国語などで書かれたメニューを用意しているところが多い. 英語でコミュニケーションをとってほしいときは, По-английски (パ アングリーイスキ; 英語で) と言う. しかし相手がロシア語しかできなければ返事もロシア語なので, 割と気休めである. レストランや土産物屋ならば相手も外国人観光客に慣れているので, 何らかの方法で対応してくれることが多い.

Ложки-Плошки (ローシュキ・プローシキ; スプーンと小鉢)

内装に凝っており, 明るく清潔感があるので観光客にかなり人気がある. 日本語のメニューも用意されている. ペリメニが人気.


公式サイト


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ローシュキ・プローシキの入り口. 店名が筆記体なので慣れないと判読しづらい. この手前にも立て看板がある.
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シベリア風, シーフード, などペリメニのレパートリーが豊富である.

Порто-Франко (ポルトフランコ; 自由港)

名前はイタリア語の ”porto franco“ (自由港) にちなんだものだろうか?

実際, 内装は「陽気な南欧の港町」をイメージしたと思われる出来になっている. メニューはオーセンティックなロシア料理がそろっている. イタリア料理はない.


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ポルトフランコの入り口.
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ポルトフランコの内装
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カニと野菜の冷製スープ

Кафе Studio (カフェ・ストゥディオ)

レストランというよりはバーのような雰囲気の店. この店は24時間営業らしい. 日本語メニューもある. 醤油もある.

goo.gl

公式サイト


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硬いパンに入ったボルシチ. 手前の肉巻みたいなのはサーロ?
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醤油と書かれた瓶 (中身も醤油)

Хлопок Чайхона (フローパク・チャイホナ; ティールーム・木綿)

Чайхона というのはウズベクティールーム (ティーハウス) のことをいうようだ (ここに限らずウズベク料理の店はみんな Чайхона と名乗っているのかも知れない). 市内に3店舗あるらしい. 私が行ったのはオケアンスキー通り (ул. Океанский) の店.

このレストランは中央アジア (特にウズベキスタン) とコーカサス地方の料理がメインの店. しかしメニューにはカリフォルニアロールなどの「スシ」もある. 入り口に禁煙マークがあるが, 店内には水タバコをやる客が大量におり甘ったるい臭いが立ち込めていた (喫煙者は1階のみで, 私は2階に通された. よって喫煙するつもりがない人は臭いを気にする必要はなさそうだ.). 内装も中央アジア風でかなり凝っている. スタッフの着る Tシャツに cotton 100% と印字してあるのはジョークだろうか.

良いレストランだが, 観光名所の集中しているエリアからは少し離れているので, バスかタクシーを使ったほうが良いだろう.


公式サイト


ウラジオ.com の紹介ページでは閉店と書かれているが, 書かれている住所が全然違うので, 実際には移転しただけだと思う.

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フローパク 2Fの内装
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ウズベク料理で揃えて注文した

Кафе Пхеньян (カフェ・プェーニヤン; カフェ平壌)

鉄道駅から少し南下したところの, カザンスキー教会 (Казанский храм) の近くにある, 北朝鮮政府が外貨獲得目的で運営しているという噂のいわゆる「北朝鮮国営レストラン」. 東南アジアや中国にもあるらしいが, 近年は北朝鮮への経済制裁により閉店が危惧されているという話も聞く. ここはロシア語だけでなく英語が普通に通じる. スタッフはおそらく北朝鮮出身者なので韓国語*18ももちろん通じる (というか入店したら「アンニョンハセヨ」と出迎えられた.). なお, ウラジオストク市内には他にも, «Корё» (コリョ; 高麗), «Кым Ган Сан» (キムガンサン; 金剛山) というレストランがあり, これらも北朝鮮政府とつながりがあると噂されている. アングラ感があるが, すでに口コミで有名になりつつあるのか訪れる日本人観光客も多い.

おそらく北朝鮮政府とは関係のない韓国 (朝鮮) 料理店も市内にいくつもある. 私は行かなかったが, 特に有名な高級韓国料理店に «Шилла» (シッラ; 新羅) がある.

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カフェ・平壌の外観
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平壌冷麺

Тбилиси (トビリシ)

グルジア (ジョージア) 料理のレストラン. G.G. Group という企業のチェーン店らしい. ウラジオストク市内のジョージア料理店はどこも立地がよく人気がある一方, この店は繁華街から離れたところにあり, また月曜の夜だったからか客が全くいなかったので穴場かもしれない. 内装も凝っている. 席に付くと始め店の前に座り込んで一服していた強面の男性がやってきて (店員だったのか……) が開口一番, «Поговорите по-русски?» (ロシア語は話せますか?) とのたまったので緊張が走ったが (あの様子だと英語はほとんど話せなさそうだ), 接客は丁寧で良かった. メニューはロシア語だった. 英語メニューがあるかは確認してない. ナイフとフォークが用意されているが, 伝統的なジョージア料理は手づかみ前提なように思える. 料理もワイン (もちろんジョージアワイン) もうまかったが, ハチャプリ (画像の左のパン) が思ったより大きかったので腹いっぱいになり, ヒンカリに挑戦できなかった.


公式サイト (ウラジオストクではなくモスクワ店)

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レストラン・トビリシの外観
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レストラン・トビリシの内装
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伝統的なジョージア料理

飲用水・軽食の調達

日本と違い, 自動販売機はほとんどない. 空港に数カ所ある程度である (非接触型カード決済もできるようだ). 代わりに市内のあちこちや, 郊外の大きなバス停留所の近くなどには必ずといっていいほど КИОСК (キオスク) がある. 雑誌なども売っているが, 観光旅行ならば飲み物を買うくらいだろう.

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典型的なキオスク. 雑誌や新聞が所狭しと陳列されている.

また, 特に観光客の多いウラジオストク鉄道駅前や噴水通り (アドミラル・フォーキン通り) から西の海岸方面には露店が多く出ている. кебаб (ケバープ; ケバブ) や морожное (マロージュナエ; アイスクリーム), пянсе/пян-се (ピャーンセ; 朝鮮風饅頭) が売られている. 中国と朝鮮半島に近いため, 東アジア風の料理も多い. その他, 麺料理も売られている. これは名前がまちまちで, вок (ヴォーク; 中華鍋 wok のことか) とか удон (ウドン; うどん) とか呼ばれていたりするが, おおむね野菜と肉と一緒に炒めた焼きそばのような調理法である. 中央アジア由来の麺料理であるラグマンとも混同している気がする. キオスクは概ね日没後くらいに閉店する.

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チキンうどん
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イベント会場で注文したВок. 箸は полочки (パローチキ) と言う (今回初めて知った)

その他, 他のヨーロッパ諸国のようにミニマーケットがあちこちにある. ПРОДУКTЫ と書かれている店ならば, 飲料水や菓子, パンなどが売っているだろう. ウラジオストク鉄道駅には深夜便もあるため, 駅の向かいにある СУПЕРMАРКЕT は比較的遅く夜10時まで営業している. さらに長距離移動する客を想定してか, お土産, 軽食, 保存食, 日用品, さらにはスタローヴァヤもあったりとけっこう品揃えが豊富だった. 高級ホテルではなくドミトリーやホステルのようなところに宿泊する場合は役に立つだろう. クレジットカードも使える.

なぜかチェコビールの, Kozel (コゼル) と Krušovice (クルショヴィツェ) の2銘柄がいろいろな店に置かれていた (レストランでもよくみかけた). 駅前のスーパーには Staropramen (スタロプラメン) まで置いてあった. 日本製の洗剤やインスタント食品もちょくちょく見かけた.

スタローヴァヤ形式の食事の例: Салад (サラート; サラダ), Плов (プローフ, ウズベキスタン風ピラフ), Кебаб (ケバープ), Каша (カーシャ; 蕎麦の実を茹でたもの. 蕎麦以外の雑穀でもカーシャという.)

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典型的なスタローヴァヤの食事

*1:つい最近, 2019/10/1 から適用

*2:受信時刻はモスクワ時間でも土曜日になってからだった

*3:髭をかなり長く伸ばしていたのですごい怪訝な顔で二度見され, 「なんだその髭は」というジェスチャーをされた

*4:ネット上では「意外と英語が通じる」と言う人もいるが, おそらく英語でのコミュニケーション経験が豊富で, かつロシアに好意的で簡単なロシア語なら理解できる人である可能性が高い.

*5:英語を無理に話してもらっても訛りが強いのでロシア語のほうが分かりやすいまである. 中国人観光客が多いのでむしろ中国語のほうが理解してもらえるかもしれない? モスクワはもう少し英語ができる人が多いのだろうか? ナッドサット語やチャトル=パッツ語が通じるかは不明.

*6:レジでもたもたしていると舌打ちされるという話をよく聞くが, 私は試してみなかった. 一方で, 私がレジの列についていると他の店員が別の空いているレジに誘導してくれたりもした. 文化が違うと他人に対する親切の基準が変わるということだろう.

*7:中心部にも韓国系の人がやっている土産物屋があり, その店は全てのロシア語にハングルが併記されていた.

*8:うんちくだが, 「鉄道の」という意味の железнодорожный は железно (鉄の) дорожный (道路の) という2つの形容詞の合成語なので ж/д と略される.

*9:定期券や回数券を使ってる人を見かけなかったので, そういったものはないようだ.

*10:こういう話もあるが, 電子化が普及するのはもう少し先のようだ.

*11:駅のターミナルが一杯なのに無理やり割り込もうとして渋滞を起こしているバスもいた.

*12:客が降りてから後ろのドアを開けることが多いが, 客が降りないうちに前から飛び込んでくるせっかちな人も見かけた.

*13:一応, 一部の優先座席には降車ボタンが付いているが, 機能するのかわからないし, 健常者が押してどういう反応をされるのかは知らない.

*14:やたらと細かい釣り銭をくれるのは親切なのかあてつけなのか不明. コペイカを渡されたこともある.

*15:食べる量にもよるが, 後で紹介するレストランはなるべく高いものを選んでアルコール込みでも1人2000ルーブル (3000円程度) くらいだろう. もちろん, ずば抜けて高いスペシャリティーメニューもある.

*16:観光客向けに, レシートに「チップはなくても大丈夫ですが, もしいただけるなら大歓迎です」と英語で書かれてたりする.

*17:ロシア人は多くの場合, こちらが少しでもロシア語がわかりそうなそぶりを見せるとすぐロシア語に切り替えてくるのでどの程度英語が話せるかは確認していない.

*18:朝鮮語の南北の違いについては私は詳しくないので分からない

[Proton] Ubuntu 18.04 で Windows 向け Steam ゲームをやる


要は proton で個別タイトルの導入事例についてのメモ. だいたいぐぐったら既にどっかでかかることがほとんど.

共通の準備

steam クライアントのインストール

公式でダウンロードしたのをインストールしてもいいし,
store.steampowered.com
apt コマンドでも一発でインストールできる*1. ただし, こっちのほうがバージョンが古いようだ.

sudo apt install steam

起動直後は英語になっていると思うので, 不便ならウィンドウ左上の「steam」から Settings -> ”Interface“ で言語選択する.

proton の有効化

クライアントを起動し, ウィンドウ左上の「steam」->「設定」->「アカウント」から, 「ベータへの参加」欄で「変更」を押して, 「Steam Beta Update」 を選ぶ. その後, 「プレイ」が表示されない Linux 非対応のタイトルのプロパティを開き, 「Steam Play」 で「他の全てのタイトルで Steam Play を有効化」にチェックを入れるか, 各タイトルのプロパティから「特定の Steam Play 互換ツールの使用を強制する」をチェックする*2.

後は Linux 対応していないゲームを起動するたびに以下のようなダイアログボックスが出る. この際 DirectX とか足りないライブラリがあれば勝手にインストールしてくれる.

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proton 適用後に初起動するときのダイアログボックス

よく使うライブラリ等のインストール

この辺は本家のヒント集をそのままなぞった.

github.com

NVIDIAGPU を使っているなら NVIDIA ドライバのインストールが必要になる. (AMDVR やりたい人は知らない)

さらに, 色々と Windows 特有のライブラリに依存しており, wine も必要になる場面が多いのでインストールしておくとよいかもしれない.

sudo apt install wine64
sudo apt install winetricks

ただし, debian/ubuntuリポジトリに登録されている wine/winetricks はバージョンが古い.

最新版 wine のインストール方法

ここを参考にする.

wiki.winehq.org

最新の 4.5 は libfaudio0 が必要だが, これもリポジトリにはない. そこで, 先にそっちも deb ファイルを落として, ターミナルで以下を実行する.

sudo dpkg -i libfaudio0_xxx.deb

xxx の部分はパッケージのバージョン.

次に, 最新版 wine のために wineHQ のリポジトリを登録する. 上記のサイトに従い, 18.04 なら以下のように.

sudo dpkg --add-architecture i386
wget -nc https://dl.winehq.org/wine-builds/winehq.key
sudo apt-key add winehq.key
sudo apt-add-repository ";deb https://dl.winehq.org/wine-builds/ubuntu/ bionic main";
sudo apt update
sudo apt install --install-recommends winehq-stable winetricks

ゲームパッドの使用

今回の事例では, ゲームパッドに対応しているゲームタイトルのほとんどで, ゲームパッドを認識してくれなかった. RPGにツクールなど他のゲームパッドに対応しているソフトを wine 経由で起動して, ゲームパッドが機能することを確認しても, steam ゲームでは動かなかったりした. steam クライアントで bigpicture モードにすれば動く, という声も見られるが, 認識したというメッセージが出るだけで実際は動いてくれなかったりする.

そんなふうにいろいろいじってるうちに反応するようになったため何が決め手になったのかいまいち自身がないが, たぶん, steam クライアント左上の「steam」->「設定」->「コントローラ」の「一般のコントローラ設定」で, 変にチェックボックスを指定しないほうが良さそうだ. つまり, 「PlayStation/Xbox/一般のゲームパッド設定のサポート」などチェックボックスがいくつか表示されるが, その下に「ゲームパッドが検出されている」というメッセージがある限りはどれもチェックを入れないほうが良さそうだ (ちなみに私のゲームパッドlogicool F710). また, 以下の2つをインストールしている. (steam クライアントも何度か再起動したのでそれが影響している可能性もなきにしもあらず)

sudo apt install joytick jstest-gtk

試したタイトル一覧

以下ではインストールディレクトリが $HOME/.local/shere/Steam/ 以下であることを前提でファイルパスを書いているが, どこからインストールしたかとかバージョンとかでも変わる可能性がある. 例えば apt でインストールした場合, デフォルトで $HOME/.steam/ になった.

なお, Steam クラウドに対応しているタイトルならば, 他の環境でプレイしたセーブデータをロードすることができる.

スカイリム・スペシャルエディション (TheElder Scrolls V: Skyrim Special Edition)

BGM と音声が再生されない, キーボードとゲームパッドどちらか片方しか受け付けない (これは windows でも同じだっけ?)

サウンドの問題については, 以下のように steam クライアントから起動オプションを追加して解決した.

github.com

WINEDLLOVERRIDES="xaudio2_7=n,b" %command%

初回起動時のグラフィックパフォーマンス自動設定で「グラフィックボードを検出できない」と言われるが, 最高品質でも余裕で動いたのでグラフィックボードは機能しているはず.

しかし, スカイリムといえば mod で, 既存のものは当たり前だが windows 前提で作られている. よって, それらの動作確認も確かめるとなると結構骨が折れそうだ.

なお無印 Skyrim (Legendary Edition) でもだいたい起動できるが, 水中の表示がおかしい*3とか, 正常終了できないとかいろいろと小さな不具合があった.

github.com

スカイリムはもう飽きるほどやったので, この辺の不具合の解決方法を確認するのはめんどくさくなったので省略.

リトルナイトメア (Little Nightmare)

起動直後に Fatal Error というダイアログボックスが出て終了してしまった.

以下を参考に, steam クライアントでリトルナイトメアの起動オプションに ‘-onethead‘ を追加すると正常に起動できた.

github.com

ただし, フルスクリーンを指定してもメニューバーとかが消えずに完全なフルスクリーンにならなかった. ゲームパッドも, 先に書いた内容でなんとかなった.

キングダムカム・デリバランス (Kingdom Come: Deliverance)

私の場合は, タイトルロゴが表示されてからいつまで経ってもゲーム画面が展開しなかった. この場合は, インストールされた一部のファイルを別のディレクトリにコピーしないと動かないかもしれない. 以下を参考にした.

steamcommunity.com

以下のコマンドで, Bin/Win64Shared 直下のファイルを Win64/ にコピーする.

cd $HOME/.local/shere/Steam/steamapps/common/KingdomComeDeliverance/Bin/
cp Win64Shared/* Win64/

なお, いくつかの起動オプションが有効という話もあるが, 私の場合は逆に画面が表示されなくなってしまった. 古いバージョンでは有効だったが, 現在は逆効果なのかもしれない. また, steam 版は日本語パッケージがないため, 日本語表示したい場合は有志翻訳 mod が必要になる. しかし, この mod の翻訳テキスト取得プログラムは .net framework と power shell に依存している. 前者はともかく, 後者は wine ではどうしようもない. おそらく VM などで仮想環境を作らないと無理だろう. どうしても windows を使いたくないというのなら, 開発者に最新版のファイルをアップロードしてもらうか, 自分でクローリングプログラムを書き直したら良いだろう.

2019/11/15 追記: Python で日本語化ファイル取得スクリプトを書いた:
github.com

ちなみに DMM Games 版も wine で動かせないかと思ったが, DMM Game Player のインストールがうまく行かなかったので諦めた.

ソードアート・オンライン フェイタルバレット (Sword Art Online: Fatal Bullet)

先に書いたようなゲームパッドの問題を除けば, 普通に機能した. しかし windows で起動した場合よりやや FPS が低下している気がする.

メトロ・エクソダス (Metro: Exodus)

起動時にエラー以下のようなエラーが発生した.

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メトロ エクソダス起動時のエラー

ここでもあるように, windows のバージョンを 8.1 に設定すれば動いた. バージョンは新しすぎても古すぎても良くないようだ. (私の場合はデフォルトが XP だった... )

www.protondb.com
Metro: Exodus (412020) · Issue #2414 · ValveSoftware/Proton · GitHub
PSA: Do not update Metro Exodus on steam : linux_gaming

wine をインストールして, ターミナルで以下のように入力する. Linuxディストリビューションとかバージョン違いとかでディレクトリは多少変わるかもしれない. 412020 というのはメトロ・エクソダスのIDである*4*5.

WINEPREFIX=$HOME/.local/share/Steam/steamapps/compatdata/412020/pfx winecfg

なお, wine はなぜか英数字 (半角英数?) だけが文字化けすることがある. wine 側でフォントを認識してないからだろうが, ネットに出回ってる対処法を試してもいまいちうまくいかなかったので, ロケールを英語で起動した. つまり, LANG=C を追加して起動する

WINEPREFIX=$HOME/.local/share/Steam/steamapps/compatdata/412020/pfx LANG=C winecfg

これで読めるようになるので, ドロップダウンリストで Windows 8.1 を選んで 「OK」

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(左) 文字化けした場合 (右) 英語ロケールで起動した場合

Metro: 2033, Last Light もたぶん同じ方法で大丈夫だろうと思う.

その他, proton で特に問題なく機能したタイトル

S.T.A.L.K.E.R. Shadow of Chernobyl

確認はしてないが, ゲームエンジンが同じはずなので Clear Sky と Call of Pripyat もたぶん大丈夫

ウィッチャー 3 ワイルドハント (The Witcher 3: Wild Hunt)

ゲームパッドも機能した

ダークソウル 3 (Dark Souls III)

ゲームパッドも機能した. なお, 最近のタイトルでは珍しく Steam Cloud に対応していないので, セーブデータの移植には注意 (それともたまたま自分の買ったタイトルに Cloud 対応が多いだけ?)

ニーア・オートマタ (Nier Automata)

ゲームパッドも機能した

A Plague Tale: Innocence

ゲームパッドも機能した

ヒットマン (Hitman)

全て問題なし. オンライン接続も機能した.


*1:multiverse リポジトリの登録が必要. 殆どの人は登録してると思うが一応: ‘sudo add-apt-repository multiverse; sudo apt update‘ で.

*2:一部のタイトルはチェックを入れなくても「プレイボタンが表示される」例えば, ダークソウル3とか. 公式が動作確認したかどうか?

*3:これは windows でも mod いじってたときはよく表示がおかしくなったのでめんどくさい

*4:ID は https://steamdb.info/ で検索できる

*5:インストール方法によっては ‘$HOME/.steam/steamapps/compatdata/‘ 以下になったりする

[KCD] キングダムカム・デリバランス 2019 プラハ編


イントロダクション

2019年5月にキングダムカム・デリバランス (Kingdom Come: Deliverance; 以下 KCD) の聖地巡礼に行った時の話. 最後は初日と最終日のプラハ観光の話. 今回の内容で KCD の時代に縁のある場所は, カレル橋と旧市街のベツレヘム礼拝堂だろうか.

プラハ市内の公共交通機関について

プラハ市内にはトラム (路面電車), バス, 地下鉄が走っている. 特に中心部の有名な観光スポットへはほとんどトラムで移動可能で, バスは外縁部, 地下鉄は市内の端から端まで移動したいような場合でなければあまり使わないだろう. 例えば私が3日目にトロスキ城へ行ったときは, 地下鉄の終着駅まで乗った.

料金体系と切符は全て共通である. 切符は回数制のものもあるが, 日本とは違い, 3時間, 12時間, 24時間, 72時間など時間制のものもある. 最初に乗る際に車内の打刻機で切符に使用開始時間を印刷する. 打刻機の使い方に特に説明はないが, 矢印に合わせて差し込むだけで打刻してくれる. よって, 打刻は最初に利用したタイミングだけでよい (外国人観光客が打刻済みのものに打刻したのを一度見かけたが, たぶん間違い). どこまでがプラハ市内の料金区間なのか厳密なことは知らないが, 市内の有名所を見て回るだけならあまり気にしないでいいと思う.

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(左) 24時間切符 (右) 72時間切符

切符は駅や市内のあちこちの自動券売機で販売しているが, 私は面倒だったので期限が切れるたびに72時間切符をホテルのフロントで購入した. フロントで切符を売ってくれるかどうかはそのホテル次第だろう.

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シュコダ製の新型トラム, プラハ-マサリク駅付近で

市内ならば, トラムの停留所はわかりやすい (右側通行なのでプラハに来て間もないうちは混乱するかも知れない) し, 時刻表も特に問題なく読めるだろう. Google Map のルート検索もトラムの運行ダイヤに対応している. ただし, 当然ながら車内のアナウンスはチェコ語である.

トラムの場合は, 次のような定型文がアナウンスされる.

  • 停車直前: (現在の停留所名), příští zastávka (プシーシュチー・ザスターフカ), (次の停留所名).

停留所名はどちらも1度しか言わないので注意する必要があるだろう. ぼうっとしていると次の駅名と今の駅名を間違えることがある.

また, 電光掲示板にも表示される. 旧型新型いずれにも電光掲示板があるが, 新型は東京都内のバスのように前後の停留所も表示されるのでわかりやすい.

youtube に18系統路線の動画がある.

地下鉄の場合もほぼ同じで, 停留所を意味する zastávka が stanice に変わっただけである.

  • 発車直後: příští stanice (プシーシュチー・スタニツェ) (次の駅名)

  • 停車直前: 駅名のみ.

  • 停車時: (現在の駅名), příští stanice(プシーシュチー・スタニツェ), (次の駅名).

車内の雰囲気は以下の動画などを見ると良いだろう.

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地下鉄のスタロムニェスツカー (旧市街) 駅のプラットフォーム

バスは1度乗っただけなのでどういうアナウンスか覚えていない.

1日目

プラハ到着は 4/30 深夜だったので, 5/1 が観光初日となった. そもそも海外旅行自体初めてなので時差ボケによる疲労か, 10時頃まで起き上がれなかった. 最初は宿泊地に近いプラハ城周辺を見るつもりで, ペトシーン (Petřín) 公園へと向かった. ケーブルカーで頂上へ向かい展望台も登ったのだが, デジカメの操作を誤って画像を全部消してしまった (そもそも SD カードが 2GB しかなかった). メーデーだったからか, 公園では野外ライブや屋台が出ていた. スマホで撮影した画像がいくつか残っている程度である.

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ゲームでおなじみの薬草たち
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プラハに来て最初のビールはブドヴァル.
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市内のあちこちにこのような聖堂がある.
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展望台の売店で買った料理の本

ペトシーン公園の展望台に登った後,そのまま歩いてプラハ城へ向かった.

プラハ

観光に来る人間はほぼ必ず訪れるであろう場所だ. プラハで一番の観光名所であり, また大統領府庁舎が敷地内にあるため, 軍人や警官が頻繁にパトロールしている. また, 入り口では金属探知機なども用意して厳重な手荷物検査がなされている.

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城内にはイースターの飾り付けのキオスクが立ち並んでいた
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金属細工の実演
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城内を巡回する儀仗兵. 普通の制服の警官や, 野戦服の軍人も巡回していた.
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聖ヴィート大聖堂南側の広場
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2杯目のビールは Bakalář
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トルデルニーク
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聖ヴィート大聖堂の身廊
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聖ヴィート大聖堂の側廊
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聖ヴィート大聖堂の鐘楼から見るプラハ市街地
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プラハ城の出口. 観光客はこちらから入ることはできない.
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プラハ城から出るとマサリク像と対面する
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さらにそのすぐ近くのスターバックス
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ふもとのマラー・ムニェスト (小市街) へつづら状の坂道を降りていく
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さらに下ったところ
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アーケードの中にレストランやカフェがある
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先立ってプレスチームが入った "U sedmi Švábů (七人のスワビア人たちの酒場)"
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店の入口
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自分も食事をしてみた. ビールは期間限定の「緑色のビール」

ビーラー・ホラ (Bílá Hora) の戦場跡

三十年戦争中に起こったビーラー・ホラの戦いの場である. 現在は, プラハ郊外の住宅もまばらになってきたところにある, 何もない丘である.

トラム 22, 25系統の終点, Bílá Hora から歩いてすぐのところにある.

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ビーラー・ホラのターミナル
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ビーラー・ホラの戦いの記念碑
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解説の看板

聖地 (Forum Karlín)

この旅行の1週間後に移転したらしいが, Warhorse Studios のオフィスがあった複合施設である. 市街地の北東のカルリーン周辺は新興商業エリアといった趣で, 歴史的な観光スポットはあまり見られなかった.

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旧 Warhorse Studios オフィス

最終日

前回書いたように, 午前中はクトナー・ホラを見て, 午後からプラハ市内を見て回った.

カレル橋

ここもプラハ城に次いで人気のある場所である. 夜景を求めて夜遅くまで観光客でごった返している.

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カレル橋
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カレル橋西側の橋塔
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フランシスコ・ザビエル
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東側の橋塔から見るカレル橋の夜景

カレル橋の東には, カレルI世 (DMM 版ではチャールズ4世) の銅像もある (ただし銅像が作られたのは最近らしい).

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カレルI世像
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夜のカレルI世像

ベツレヘム礼拝堂

KCD の作中でも言及される, ヤン・フスが説教を行ったという礼拝堂. 屋根などは後世のものだが, 基盤や壁の一部は当時から残っているという. 内装も当時のものが残っている. この礼拝堂は規模の割に内装がきわめて簡素で, 純粋に多くの信者を収容する機能しか持たなかった. 神父が立つ説教壇は信者との距離を近くするため, 広さに対して低い位置にあるという. ガイドはドイツ語と英語がうまく, ドイツ人とアメリカ人の観光客に順に解説していた.

公式サイトに日本語でより詳しい説明がある.

ベツレヘム礼拝堂は

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ベツレヘム礼拝堂の入り口
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入り口 (東) 側から見た礼拝堂内部
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焚刑に処されるフスの絵画, 北側の壁
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フス戦争で活躍した軍人, ヤン・ジシュカの肖像, 北側の壁

ベツレヘム礼拝堂の外壁には "ZA PRAVDU (真実を)" という言葉を表す影絵がある. キリストの真の教義に立ち返ろうとしたヤン・フスの理念を反映したものだろう. 後世のマサリクも「真実は勝利する」という言葉を好んだ.

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ベツレヘム礼拝堂の外観
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ベツレヘム礼拝堂のすぐ近くにあった『兵士シュヴェイク』モチーフの店

その他のランドマーク

国民劇場 (ナーロドニー・ディヴァドロ Národní divadlo)

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国民劇場正面
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夜の国民劇場

ルドルフィヌム

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ルドルフィヌム

ヴァーツラフ広場

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ヴァーツラフ広場の聖ヴァーツラフ像と背後の国立博物館

ハヴェルスカー広場

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ハヴェルスカー広場では観光客向けの売店が立ち並んでいる

旧市街広場

旧市街広場は, KCD の時代からプラハの中心地だったようだ.

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旧市街広場の聖ミクラーシュ聖堂
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何かのイベントがあるのか, 野外コンサート会場らしきものや仮設トイレが設営されていた.
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ビーラー・ホラの敗北により処刑された27名の新教指導者の記念碑
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プラハの天文時計台. 駆け足で見て回る必要があったため動く瞬間を見られなかった.
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馬車で遊覧するサービスもあったらしい.

踊るビル

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踊るビル

クベリィ基地

Hidden and Dangerous というゲームをご存知だろうか. あのゲームの最終ステージで登場する, Kbely 空軍基地である. 軍事博物館もあるらしいが, 営業時間に間に合いそうになかったため, レトニャニから撮影した.

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クベリイ空軍基地

その他の印象的な場所

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韓 "國" 食堂
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キャンディ専門店
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棚の半分くらいがビールで埋まっている雑貨店
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日本料理も出す中華料理店は本当にあった
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謎その2
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twitter で別の旅行者が紹介していたので自分も探して見つけた.
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ルツェルナ宮殿のパーテル・ノステル. 残念ながら乗せてもらえないようだった

食事

この旅行中, ブルノ, トロスキ, サーザヴァなどへも行ったが, 全て日帰りであり, ブルノへ行った日以外はすべてプラハ市内で夕食を取った. どこで食べるかは特に計画していなかったので, 無節操にトリップアドバイザーなどで評価の高い店を探したり, 先立って DMM Games プレスチームの紹介していた店などを選んだ. なお, チェコのレストラン (restaurace) の多くは, 入り口に取り扱っているビールの銘柄の看板を掲示している. 日本の居酒屋のように. それくらいビールが頻繁に飲まれる. カフェですらビールを飲んでいる光景が見られる.

3日目: Mlejnice (ムレイニツェ)

口コミサイトで高評価なだけあって混雑していたので, 30分くらい待たされたと思う. ここも「七人のスワビア人」と同様に内装にこだわっており, 農具や車輪が飾られているなど, 中世の農家の納屋のような趣だった. ビールは確か Kozel の黒ビールを注文したと思う.

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クネドリーキとパンの中に入ったグラーシュ

www.restaurace-mlejnice.cz

4日目: U Tří růží (ウトゥシー・ルージー; 3本の薔薇)

酒場風の店. 2階, 3階もあり, 混雑してると「ここは満席だから上に行って」とたらい回しにされる. 私の持っているチェコ語の教科書に書かれていたマナーに則って, スープ, 主菜の順に注文する*1.

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赤ビール, Vienna Red
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鶏のスープと揚げた麺
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やや高級なトラピストビール (修道院のビール) St.Giles №4 という銘柄?
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ヒルのコンフィ. 紫色のはザワークラウトだったと思う.

Pivovar a restaurace U tří růží Praha

5日目: Kantýna (カンティーナ)

プレスチームも訪問していた店. 精肉店のように様々な肉が陳列されており, 注文して焼いて出してもらう, という形式の店. 見た目のインパクトに惹かれて骨付き肉を注文してしまうが, よく見ると 1500 コルナ (約5,000 円) もする. しかし値段を見て撤回するのも格好悪いので精一杯味わうことにした. (実際とてもうまかった)
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Kantyna 店内の風景
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Kantyna の肉料理

Kantýna - řeznictví a restaurace


KCD の聖地巡礼記事の一覧

under-identified.hatenablog.com
under-identified.hatenablog.com
under-identified.hatenablog.com
under-identified.hatenablog.com

*1:しかし, この教科書に書かれている食事マナーを守っている現地人はあまり見られなかった...

[KCD] キングダムカム・デリバランス 2019: クトナー・ホラ編

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Published by DMM GAMES, © 2019 and developed by Warhorse Studios s.r.o., Kingdom Come: Deliverance® is a trademark of Warhorse Studios s.r.o. Co-published by Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver and its respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. Co-published in Japan by ZOO Corporation. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.

イントロダクション

Warhorse Studios のビデオゲーム『キングダムカム・デリバランス』 (Kingdom Come: Deliverance, 以下, KCD) の聖地巡礼としてチェコへ行ったときの記録. 今回は5日目, 2019/5/5 にクトナー・ホラ (Kutná Hora) へ行った話.

  • セドレツ納骨堂
  • 銀山博物館
  • 聖バルボラ教会

クトナー・ホラの一般情報

クトナー・ホラ (DMM Games 版ではドイツ語風に「クッテンバーグ」表記) はプラハから東に50km 程度, コリーン (Kolín) の南東に位置する. ラッタイ (ラタイェ・ナトサーザヴヴォウ, Rataje nad Sázavou)から30 km 程度しか離れておらず*1, また当時は銀の採掘によりプラハに匹敵するほど繁栄していたため, ゲーム中で訪れることはできないものの, 頻繁に言及される. 例えば, ゲーム中にはクッテンバーグ製の甲冑が登場する.

アクセス

クトナー・ホラの主要な観光名所のうち, セドレツ納骨堂と聖マリア聖堂は郊外の離れたところにある. 最も近い駅はクトナー・ホラ=セドレツ駅 (Kutná Hora-Sedlec) だが, 乗り換えの面倒さ*2から, プラハから来る場合はクトナー・ホラ本駅 (Kutná Hora hl.n.) から歩いたほうが早いだろう.

一方で, 聖バルボラ教会や銀山博物館などは, 丘の上にある歴史地区に集中している. こちらはクトナー・ホラ ムニェスト駅 (Kutná Hora město) が近い. 今回私は, まず本駅で降りてセドレツ納骨堂を見学し, それから市街地を歩いて歴史地区まで移動し, その後ムニェスト駅からプラハに戻った.

往路で列車がクトナー・ホラに近づくと, 急に近くの席に座っていたおじさんが「あんたもしかしてクトナー・ホラに行くのか? もう数分で着くぞ.」と英語で話しかけてくれた.

先日に続き, この日も午前中は天気が悪かった. クトナー・ホラ本駅で降りると, 目の前に中華料理店があった. ただし早朝なので開いていない. このとき同時に降りた乗客はほとんど全てセドレツ納骨堂が目当てだったようだ. 道なりに進ん納骨堂に向かう.

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クトナー・ホラ本駅
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クトナー・ホラ本駅の向かいにある中華料理店

セドレツ納骨堂 (Sedlec Ossuary)

セドレツ納骨堂の公式サイトには, 以下のように書かれている.

The tickets in Sedlec are not for sale in the monuments. You can purchase the tickets at the Ticket office near by information centre in Zámecká 279. The Ticket office is closing 15 minutes before monuments closing hours!

Ossuary Sedlec | SEDLEC


入場券を売っている場所が納骨堂から少し離れていることに注意してほしい. これも上記の公式サイトを見れば分かるが, 本駅から歩いてきた場合, 納骨堂の手前の観光案内所でチケットを販売している.

なお, 撮影はしなかったが, 案内所から納骨堂への途上にはレゴ博物館なるものがある.

私がセドレツ納骨堂の存在を知ったのは, 高校生くらいの頃だったろうか. ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を見て知った. いつか行ってみたいと思いながら長い年月が過ぎた.

納骨堂はさほど広くはない. また, 骨には触れられないように金網が設置されている. さらに手を金網に近づけるとブザーが鳴るようになっているが, 居合わせた観光客の1人が接写しようと自撮り棒を伸ばしていたため, 何度もブザーが鳴ってうるさかった...

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セドレツ納骨堂内部

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説教壇らしきもの. ここでも説教が行われたのだろうか?

入り口では土産物も売られている. ポストカードやTシャツ, 金属細工などがあった. 私は Tシャツを買った.

セドレツ納骨堂の近くには聖マリア教会という, こちらも有名な教会があるが, 日曜日は開放されるのが午前11時以降だったため, 見るのは諦めた.

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聖マリア教会

歴史地区

ここから歩いて旧市街地へ向かう. バスや電車もあるが, 待ち時間を考えると歩いてもさほど変わらないと判断したからだ. 観光地だけでなく, 日常風景を見ることもできる.

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歴史地区への道

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「駐車禁止」

やがて旧市街地へ辿り着く. アスファルト舗装がプラハのような石畳に変わり, 入り組んだ路地と坂道が増え, 歴史を感じさせる.

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クトナー・ホラ歴史地区

まずは銀山博物館を目指した. 区画整理されていないので方向感覚が狂いやすい. グーグルマップをこまめに確認して現在位置を確かめながら進んだ.

銀山博物館 (České muzeum stříbra)

クトナー・ホラ歴史地区で「銀山博物館」という施設は3箇所あるようだ.

  1. 小城 フラーデク (Hrádek) 単に銀山博物館といえばここを指すと思われる.
  2. 石の家 カメンニー・ドゥーム (Stone House; Kamenný dům)
  3. Tyl の家 (Tyl House; Tylův dům)

その他, イタリア宮殿 (Italian Court; Vlašský dvůr) という建物もある. これは元々銀貨製造工房として建てられたものだが, 後に国王の別荘になった. 現在は博物館兼市庁舎兼イベントホールとして使われているらしい.

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イタリア宮殿の外観. 右の像はトマーシュ・マサリク.

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石の家

今回は Hrádek のみを訪れた. これは直前に行われた DMM Games スタッフとゲームメディア関係者の旅行で知った場所だ. 彼らは銀鉱山探索ツアーにも参加したようだが, 銀鉱は狭く, 滑りやすいので危険である. よって, 安全のため, ガイド同伴のツアーでしか入ることができない. 銀鉱山探索ツアーは90分ごとに開催されるらしいが, ほとんどはチェコ語で, 英語のガイドは日に2回程度しかない. チェコ語ガイドでは万が一の際の意思疎通に問題があると考え, 英語にしたかったが, 待ち時間が惜しい. 結局博物館の見学のみにした.

www.inside-games.jp

なお, 博物館内はフラッシュを使わなければ撮影しても良い. ただし, 個人利用のみ許可され, オープンな SNS などには投稿しないでほしいとのこと. よって, ここでも画像は出せない.

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銀山博物館の窓から

15世紀のクトナー・ホラで算出された銀はグロシュ (グロッシェン) 銀貨に加工され, チェコで流通した. 鋳貨は国家に不可欠な産業だったので, 当時のクトナー・ホラプラハに匹敵するほど繁栄したと, ゲーム中の写本 (Codex) には書かれている.

クトナー・ホラは銀で繁栄したが, それは同時にその富を狙う外敵の危機にも晒されるということでもある. クトナー・ホラは何度も略奪を受けた. ハンガリー王ジギスムント (Sigismund) もまた略奪を行った人物である. 当時の戦乱の様相を伝える資料も展示されていた.

もちろん, 銀貨も展示されている. カールIV世 (Karel I; Karl IV; DMM Games 版では「チャールズ」) やヴァーツラフIV世 (Vaclav; Wenceslaus; DMM Games 版ではヴェンセスラウス) の治世に製造された銀貨も展示されていた. 実際には銀貨は非常に高価で, 1枚あれば成牛1頭を買える, というレベルである (先日のブルノのガイドの説明より). それでは日常の買い物には不便なので, より小さな補助通貨が利用されることが多かった. よって, 同じ時代でも大きさの異なるコインが流通していた. 展示されているコインも, ヘンリーたちが使ったことがあるかもしれない.

銀貨はこのようにとても高価なので, 通貨の偽造は重罪であり, また偽造されないように注意が払われた. コインに模様を彫るための型は厳重に保管される. 博物館には, 銀貨の型を保管するための金庫も展示されていた. 何重もの施錠ができるようになっているという.

また, 当時の銀山を警護していた兵士の装備も展示されていた. 作中に登場する衛兵たちの装備とそっくりだった.

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クトナー・ホラで購入したチケット

聖バルボラ教会 (Chrám svaté Barbory; St. Barbara’s Church)

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聖バルボラ教会への坂道

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聖バルボラ教会の道中のレストラン. プレスチームが訪問していたらしい.

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聖バルボラ教会への道

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聖バルボラ教会

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現地で食べた昼食

聖バルボラ教会は, クトナー・ホラで最も有名な観光名所だろう. 現在のクトナー・ホラは人口4万人程度の小さな町だが, この大きな教会は, 中世にこの地域が銀山によっていかに栄えたかを物語っている. 聖バルボラ (バルバラ) は鉱山の守護聖人である. 建設は14世紀末に開始されたが, フス戦争を始め度重なる戦乱によって工事が中断され, 結局完成したのは19世紀になってしまったという. そのため, 部分によってゴシック様式だったり, バロック様式だったりする. 内部では, 建設の過程が図解で展示されていた. プラハ城の聖ヴィート大聖堂にも匹敵するほどの規模だが, 銀鉱の枯渇が原因か, これでも最初の計画からだいぶ縮小したらしい (斜面に沿って建っているので, 個人的には, これ以上大きくしたら地盤が心配だ.).

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聖バルボラ教会の身廊

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聖バルボラ教会の側廊. ロシア人の団体観光客が居合わせたので混雑していた

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説教壇

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聖バルボラ教会の内陣

プラハ

クトナー・ホラは小さな街ながら, 見どころが多かった. しかし, 初日でのんびりしすぎて肝心のプラハ市内をあまり観光できていなかったため, 昼過ぎにプラハへ戻った. 帰りはやたらと人が多く, まったく座ることができなかった.

銀貨にかんする薀蓄

銀山博物館に置かれていた英語パンフレット*3に書かれていたことをいくつか紹介する.

グロッシェン (グロシュ) 銀貨は, 裏面にラテン語で ”GROSSI PRAGENSES“ と彫られていることから, 「プラハ・グロッシェン」が正式名称である. しかし実際にはクトナー・ホラで製造されていた. 初期のごく短い期間だけプラハで製造されていたためにこの名前が付いたという学説が紹介されている. グロシュ銀貨は, 狭義には最も価値のある銀貨のことで, 1枚あれば家畜1頭まるごと買える, というものである.

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現代の5円硬貨, 現代の50コルナ硬貨, 14世紀のグロッシェン銀貨のレプリカ

なお, これは現地で購入したグロッシェン銀貨のレプリカである. 裏面の尾の分かれた獅子のレリーフは, 現代のコルナ硬貨にも受け継がれている. 表面には王冠が彫られ, その周りには以下のようなラテン語が彫られている.

DEI REX GRATIA BOHEMIE
WENCESLAVS SECVNDVS

「神の恩寵のもとにボヘミア王たる, ヴェンセスラウス II世」と読めるので, これは KCD の時代より100年ほど前に在位したヴェンセスラウスII世 (ヴァーツラフII世) 時代の銀貨になる. ただし, 16世紀半ばにハプスブルク朝によって製造が停止されるまで, 銀貨のデザインは王冠と獅子で統一され, 王の名前だけが変わっていたようである.

グロッシェン銀貨の額面は大きすぎて日常の売買には使いづらかった. ゲーム中ではわかりやすさのためグロッシェンで統一されているが, 「0.1 グロッシェン」といった金額は奇妙である. そこで, 現実の中世ではいくつか補助通貨が使われていた. ゲーム内の写本でもその点は指摘されているが, 具体的な話は省略されている.

1つ目はパルヴス (parvus) という通貨で, これはグロシュの銀貨の1/12の価値があるとされていた. グロッシェンを縮小したようなデザインで, 後には獅子が聖ヴァーツラフの胸像になった. 製造はヴェンセスラウスIV世の時代に終了したらしい. また, 1384年以降はグロッシェンの1/7の価値があるミンツェ (mince; coin) が製造された. 価値が低いため, 片面にしか模様が彫られていないという. さらにこの半分の価値を持つハレーシュ (haléř; heller)は, 最小の通貨単位である. 最も小さく, また模様も最小限で, 王冠のみが彫られている. なお, ハレーシュという名前の通貨は, チェコスロヴァキア共和国時代にも補助通貨として用いられていたようだ. ヘンリーや街の住人たちは実際にはこのミンツェやハレーシュを食料品や日用品の売買に使っていたのだろう.

その他, 14世紀前半のごく短期間に, 1/2 グロッシェンの額面の通貨も製造されたようだ. ヤン盲目王 (Jan Lucemburský; John the Blind, 1310-1346) の名前が彫られていることから, ヤン王の即位を記念したものという説もある.

その後, ハプスブルク家チェコの君主を世襲するようになると, これらの国の威光を示すためのデザインの新貨幣 (ターラー銀貨) が発行され, グロッシェンは額面の低い補助通貨として扱われるようになったという*4.

館内にはこれらの銀貨の実物も展示されていたが, 先ほど言ったようにここで公開することはできない. そこで, 無料パンフレットの一部のみ転載する.

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銀山博物館のパンフレット

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キングダムカム・デリバランス 日本語版発売中

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一連の聖地巡礼記事

2日目は, ブルノへ行った
under-identified.hatenablog.com
3日目は, トロスキ城へ行った
under-identified.hatenablog.com
4日目は, いよいよ KCD の舞台となったサーザヴァ川流域へ行った
under-identified.hatenablog.com
初日と最終日の午後のプラハ観光のまとめ
under-identified.hatenablog.com



*1:ノイホフの北にある街道を北上すれば, ウフリーシュスケー・ヤノヴィツェ (Uhlířské Janovice) を経由してクトナー・ホラへ辿り着くだろう.

*2:乗り換えだけではない. この駅は路線バスと同様に降車ボタンを押す必要があるので, 初心者向けではない.

*3:Zdeněk Petráň 著, Pavel Ladra and Petra Načeradská 監修 ”Coin Struck in Kutná Hora“

*4:ただし, グロッシェンは時代が下るほど銀の含有率が低下していたため, 貨幣の粗悪さを一新するという意図もあった

キングダムカム・デリバランス 2019: ブルノ編

イントロダクション

Warhorse Studios のゲーム, キングダムカム・デリバランス (Kingdom Come: Deliverance. 以下, KCD) の「聖地巡礼」旅行としてチェコに行ってきた記録. 今回は 2019/5/2 のブルノ (Brno) 日帰り旅行の話である. ブルノはゲーム中には登場しないが, KCD の時代に関連する文化遺産が多く残っていた. よって, あまりネタバレはないと思う. 具体的には

  • チェコ鉄道の利用方法
  • ハヌシュ卿と縁のあるシュピルベルク城
  • 市内の景観
  • 鋳貨博物館

について話しておく.

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キングダムカム・デリバランス日本語版は 2019/7/18 発売

Published by DMM GAMES, © 2019 and developed by Warhorse Studios s.r.o., Kingdom Come: Deliverance® is a trademark of Warhorse Studios s.r.o. Co-published by Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver and its respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. Co-published in Japan by ZOO Corporation. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.

なお繰り返すが, 私は Warhorse Studios の関係者でも DMM Games の関係者でもない.

プラハからブルノへ

現地の写真だけ見たい場合はここは飛ばしてください.

私は旅行期間中ずっとプラハ市内に宿泊していたため, この日も早朝にプラハから鉄道でブルノへ向かった. ブログの掲載順とは異なり, この日がチェコ鉄道 (ČD; České dráhy) の初利用だった.

ブルノへは, EC Metropolitan*1 という特急を利用した. EC とは Euro City の略で, 複数の EU 加盟国をまたいだ区間を走る多国間鉄道である. Metropolitan はチェコの首都プラハからスロヴァキアの首都のブラチスラヴァを経由して, ハンガリーの首都ブダペストまでを走る. 国際路線のため, 車内ではチェコ語・ドイツ語・英語の3ヶ国語での行き先表示や注意書きがあった (スロヴァキアやハンガリーに入ると現地語に変わるのだろうか?). よって, 初挑戦するチェコ鉄道の列車としては難易度が低めだと思われる. また, 日本ではあまり利用することができない食堂車も連結されている.

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EC Metropolitan
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車内の自転車ラック

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コンパートメントになっている車両が多い. ここは照明も自動ドアも壊れていたので利用客がいなかった.

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ガンブリヌス・ビールとシュニッツェル
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くん製肉とクネドリークのわさびソース和え

具体的には, プラハ本駅 (Praha hl. n.; Praha hlavní nádraží の略記) から乗り, ブルノ=ジデニツェ駅 (Brno-Židenice n.) で降りる. そこからブルノ本駅 (Brno hl. n.) 行きの普通列車 (Os; Osobní)*2. に乗る. ブルノはチェコ南部最大の都市であり, 国内でも第2の規模を誇る都市なので, ほとんどの列車は停車するだろう.

なお, 私は間違えてブルノ・ジデニツェの次のブルノ・ドルニー駅 (Brno-dolní n.) で降りてしまった. ドルニーから本駅へは直通列車がないので慌てて駅員にどうすればいいのか訪ねた. すると, 列車の接続はないものの, 鉄道会社が運営しているバスが本駅まで行くこと, バスと鉄道の切符は共有されているので新たに料金を払う必要がないことが分かった (下手な英語を聞きとって親切に答えてくれた駅員さん, ありがとうございました.). 歩いて行けない距離ではないが, 時間は限られているのでバスに乗った.

チェコ鉄道の使い方

プラハ市内ならば地下鉄 (metro), バス (autobus), 路面電車 (トラム; tram, tramvaj) は同じ料金体系で, 同一の切符を使うことができる. 一方で, チェコ鉄道の列車に乗るにはチェコ鉄道の切符を買う必要がある. 切符はインターネットで事前購入するか, 駅の窓口で購入する. 田舎の無人駅の場合は, 乗車してから車掌から購入する. 日本と違い改札口がないため, 検札は車内で行われる. 大きな駅ならば英語を話せる駅員がいることが多いので, そこまで不安になることもないだろう. 基本的に駅名を言えばその駅からの切符を買うことができる. 往復で欲しい場合は,

”Do Brno, zpáteční, prosím.“ (ド ブルノ, スパーテチュニー プロスィーム)

と言えば通じた. これは直訳すると「ブルノへ, 帰りもください」という意味になる. 聞き取ってもらえるか不安ならば紙に書いて見せれば良い (残念ながら私は何度か駅名を聞き間違えられた. 一文字一母音の日本語ライクな発音だと聞き間違えられる可能性が大きい.). EC Metropolitan はいわゆる特急だが, 1st class に乗るのでなければ特急券のようなものは必要ないようだ.

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プラハ本駅のエントランスホール
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プラットフォームへのエスカレーター
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プラットフォームからエントランスへ.
エスカレータには段差がなく, 先ほども言ったように改札口もない. そして自転車を積める列車もあるので, プラットフォームまで自転車に乗って移動している横着な人もいた. が, 自転車移動が禁止を伝える標識も見当たらなかったので, 許可されているのかもしれない.
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夕方のプラハ本駅のプラットフォーム
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なにか謂れがありそうだが, よくわからない銅像
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プラハ本駅のドーム

チェコの駅では, 日本と違いどのホームにどの列車が停まるかは直前までわからない*3. いったん停車場所がアナウンスされても, その後で変更されることもたまにある. そこで, Můj vlak (ムーイ・ヴラク, My Train という意味) というアプリをおすすめする.

play.google.com

これはチェコ鉄道による, いわゆる鉄道乗換案内アプリである. このアプリで確認すれば, 列車に食堂車, バリアフリー対応車両, 自転車置き場があるかとかを確認できたり, プラットフォームに停まるかとか, 遅延しているかどうかなどをリアルタイムで確認できる (英語表示されているが, ところどころ注意書きがチェコ語のままなのはご愛嬌ということで).

ブルノ本駅周辺

プラハ同様, ブルノ市内にもトラムの路線があり, 鉄道とは別の料金体系である. チケットのデザインは異なるものの, プラハ市内のトラムと同様に時間制である. 日帰りの予定なので半日しかいなかったが, 私は念のため24時間券を買った. しかし, ブルノ本駅前のトラムのターミナルがなかなか難易度が高かった. 同じプラットフォームの, 左右にそれぞれ別の路線の発着所が設定されていたのだ. 当初は片方の路線図だけを見て, 間違えたと勘違いして別のプラットフォームに移動し, また違う, ということを繰り返してしまった.

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ブルノ本駅のトラムターミナル
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(左) プラハ市内のトラムの切符 (右) ブルノ市内のもの

シュピルベルク城 (Hrad Špilberk)

ブルノ市の中心にある丘はまるごと シュピルベルク公園 (Park Špilberk) となっており, その敷地内には13世紀のプシェミスル (Přemysl) 朝時代にオタカルII世 (Otakar II) によって建てられたシュピルベルク城 (Hrad Špilberk) がある. KCD の写本 (Codex) によれば, 主要キャラクターの1人であるハヌシュ卿 (Sir Hanush of Leipa; Pan Hanuš z Lipé) は, ハンス・カポン卿 (Sir Hans Capon; Pan Jan Ptáček) が成人によって保護者の役目を終えた後, 一説には, このシュピルベルク城で隠居したと言われている. 城の周囲は芝生と植樹がなされており, 日本でもよく見かける公園の風景だった. なぜか馬がいる以外は……

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公園の入口
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よく見ると細いリードで繋がれている
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もう1頭
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城の正門 (現在は修復工事中のため入れない)
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近代要塞らしい城壁

城が最初に建てられたのは13世紀ごろだが, 後世にも引き続き増改築して使われていたため, 現在の姿は近世・近代の要塞の趣がある. 城内は博物館となっており, 中世のゴシック様式の城から19世紀のオーストリア帝国, 20世紀のナチスによってそれぞれ政治犯収容所として使われた時代まで, 豊富な展示品があり, なかなか見応えがある. 地下牢・拷問器具の展示品もあったようだが, どうやら見落としたようだ. 順路がわかりにくい上に, キュレーターの人が「こっちはもう見た?ぜひ見てよ!」と言って本来締め切りのはずのドアを空けて誘導してくれるという, 「親切すぎる」対応をしてもらったりしたためだろうか. 展示品は様々で, 中世期の剣や鎧, ナポレオン戦争時代のプロイセン軍マスケット銃ピッケルハウベ (トゲ付き軍帽), 近代のナチスの遺品など多岐にわたる. 個人的には 17~18世紀のポーランドのサーベルの展示が思わぬ収穫だった.

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獄死したカルボナリ党員の慰霊碑
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展望塔から見下ろす入り口
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展望塔から見る市の中心部
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城の中庭

KCD に関連の深い展示物としては, モラヴィア辺境伯ヨープスト (Jobst of Moravia; Jošt Moravský; Jobst von Mähren) にまつわるものだろうか. チェコ南東部は古くからモラヴィア (Moravia) と呼ばれ, ワインの産地として有名だった*4. 肥沃なモラヴィアの領主であるモラヴィア辺境伯の地位についたヨープストは国王であっても無視できない実力者であり, ヨープスト自身もその地位を利用した巧みな駆け引きで権勢を拡大したと言われている. シュピルベルク城を建てたのは, 他でもないヨープストと言われている. 城内には, ヨープストの遺骨から再現した頭部像や, ヴァーツラフIV世とカールIV世と並び立つ写本の挿絵が展示されていた.

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ヨープスト (Jobst) 辺境伯の再現された頭部像
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左から、ヴァーツラフ, カール, ヨープスト
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チケットの裏面の城の見取り図. 近世の星型要塞に改築されているのが分かる


鋳貨職人の地下工房 (Mintmaster’s Cellar)

KCD の物語は西暦1403年3月23日の銀山の街スカリツェ (Stříbrná Skalice) から始まり, ゲーム中にも銀貨にまつわるクエストがある. そこでブルノに行くときは, シュピルベルク城とこの Mintmaster’s Cellar (Mincmistrovský sklep) という施設を必ず見学しようと予定していた.

https://ticbrno.cz/en/underground/mint-masters-cellar

結果的に, この場所は予想以上にすばらしい博物館だった. ガイドが非常にフレンドリーで, アドリブを聞かせた丁寧な説明をしてくれた. ここで展示されているのは, もちろんブルノで作られた銀貨である. 貨幣を発行するというのは, 権力者にとっては単なる経済活動のためだけでなく, 自分の権勢を誇示し, 誰がその地の支配者であるかを人々に知らしめるという目的がある. 15世紀初頭にこの地を支配していたヨープストも, プラハボヘミア王が発行するグロシュ (グロッシェン) 銀貨とは別に, 独自の銀貨を発行していた. ヨープストの時代の銀貨は小さいものだったが, 後世になるほど銀貨は大きくなっていく. これは銀の含有量が減ったことが原因だが, 銀貨に彫られた肖像も大きくなっていくのが興味深い. ガイドによれば, 時の権力者は自分の権勢を誇示する目的で肖像画を彫らせていた (これは古代ローマから続く習慣である). そのため, 肖像は美化され, 誇張されていた. 当初は控えめな大きさだった横顔が, 徐々に銀貨の輪郭からはみ出さんばかりの偉丈夫となっていく, と彼は笑いながら説明してくれた.

展示品は銀貨だけではなかった. KCD の物語から約20年後, 1428年と1430年にブルノは戦火に巻き込まれた. フス戦争 (Hussite War) である. 地下室には, 当時の教会のアーチや, 投石機によって市内に投げ込まれた石弾が展示されていた.

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銀貨を彫る型とハンマー. 後には効率化のためプレス機が導入された.

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投石機の石弾

さらに, ブルノ市内には縦横無尽に地下道がめぐらされており, 様々な用途に使用されていた. その地下道の見学もできたのだが, 時間が足りなかったので断念した.

なお, Mintmaster’s Cellar の入り口は全く目立たないので注意. 私が訪ねたときも, 入り口の前に車が停めてあったので見落としてしまった.

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Mintmaster's Cellar の入り口

ヨープストの治世に発行された銀貨のレプリカ. この時代はまだ横顔が彫られていない.

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ヨープストの銀貨

ブルノ市内 (Town Center of Brno)

ヨープストの騎馬像 (Statue of Margrave Jobst)

兜を装着しているため顔はわからないが, 馬の足元にルクセンブルクのヨープスト (Jošt Lucemburský) という銘板が埋め込まれていた. なお, この撮影時点では知らなかったが, Mintmaster’s Cellar のガイドによれば, 背後の建物の右にある像もヨープストがモデルになっているという.

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ヨープストの騎馬像

聖ペテロ・パウロ大聖堂 (Cathedral of St. Peter and Paul)

チェコ語では Katedrála svatého Petra a Pavla という. シュピルベルク城の展望塔からも目立った教会. 堂々たるゴシック様式の尖塔だが, 実はこの部分が作られたのは20世紀に入ってかららしい.

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聖ペテロ・パウロ大聖堂の正面 (路地なのでこれ以上引いて撮ることができなかった...)
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聖ペテロ・パウロ大聖堂の尖塔

自由広場 (náměstí Svobody)

インスタ映えしそうな景観である.

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Liberty Square in Brno, Czech

野菜市場 (Zelny Trh; Vegetable Market)

野菜市場はブルノ市内のもう1つの広場である. 私が訪ねたときも, フリーマーケットが開かれていた. 野菜市場の地下にも地下道がはりめぐらされているらしい.

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Vegetable Market in Brno, Czech

マサリク大学 (Masarykova univerzita)

哲学者であり, チェコスロヴァキア共和国初代大統領でもあるトマーシュ・マサリク (Tomáš Masaryk) を記念する大学. 後で知ったのだが, これは裏口で, 正面にはマサリクの立像が置かれているようだ...

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マサリク大学の裏口

ところで, この大学では KCD を歴史科目の教材として使ったことがあるらしい.


www.playstationlifestyle.net
www.gamespark.jp

その他

あまり計画を立てずに来てしまったため, 他にも多くの見どころがあったにも拘わらず見ることができなかった. 次来るときは以下も見てみたい.

  • ブルノの地下道
  • トゥーゲントハット邸 (Vila Tugendhat, 世界遺産, チェコ現代建築の代表例)
  • モラヴィア博物館・メンデル博物館
  • ヴェヴェシー (Veveří) 城 (ヨープストの居城)
  • アウステルリッツ (Austerlitz) の古戦場 (実はブルノ郊外である)

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この記事を書いている最中に日付がかわってしまったが, 本日 2019/7/18 はキングダムカム・デリバランス日本語版の発売日である.

kingdomcomerpg.games.dmm.com

続編

翌日3日目は, トロスキ城へ行った
under-identified.hatenablog.com
4日目は, いよいよ KCD の舞台となったサーザヴァ川流域へ行った
under-identified.hatenablog.com

最終日の午前中はクトナー・ホラ (ゲーム中ではクッテンベルク) へ
under-identified.hatenablog.com

初日と最終日はプラハで過ごした
under-identified.hatenablog.com

*1:https://www.cd.cz/en/nase-vlaky/ec-ic/armpee/-27279/

*2:日本でいう各駅停車だが, ローカル線では路線バスのように, 乗降客がいないときには停車しない場合がある

*3:チェコには, 国有鉄道であるチェコ鉄道の路線がほとんどで, 民間企業による列車の乗り入れはあるものの, 線路や駅などのインフラはほとんど全てがチェコ鉄道のものである. よって, チェコ国内ならどこでもこの事情は変わらないと思われる.

*4:KCD のゲーム中でもモラヴィア地方の都市であるズノイモ (Znojmo) 産のワインを欲しがる人物が登場する

キングダムカム・デリバランス 2019: サーザヴァ (ササウ) 編

Kingdom Come: Deliverance in 2019, trans-Sazava

イントロダクション

前回に引き続き, キングダムカム・デリバランス (Kingdom Come: Delivarance) の聖地巡礼の記録.
under-identified.hatenablog.com

2019/5/4 に KCD 聖地巡礼のメイン, サーザヴァ川周辺へ行ったときの記録. 今回訪ねられたのは, ノイホフ*1 (Neuhoff), ラッタイ (Rattay, 現地語ではラタイェ・ナトサーザヴォウ Rataje nad Sázavou) とタルンベルク (Talmberg; 現地語では Talmberk), ササウ (Sasau, 現地語ではサーザヴァ Sázava) である. ただし, タルンベルクは雨の中バスで通過したため, まともな写真を撮ることができなかった. 現地で撮影したものと, ゲーム中の同様の場所との比較画像を掲載している.
プレイ中の画面を大量に掲載しているので,
ネタバレ注意 (SPOILER WARNING) である. 全く何も知らずにゲームをプレイしたい, という人は, ゲームを一通りプレイした後で見て欲しい.

以下, 地名の表記をゲーム英語版のようにドイツ語準拠で書いているが, これは現地での発音と表記とはかなり違うので注意.

なお繰り返すが, 私は Warhorse Studios の関係者でも DMM Games の関係者でもない.

ノイホフ (Neuhoff)

バスはノイホフには停車しないため走行中のバスから撮影した.

厩舎 (Horse Stable)

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ノイホフの厩舎

ラッタイ (Rattay)

壊れた車輪亭 (Broken Wheel Tavern)

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壊れた車輪亭

東側の城門 (East-side Gate)

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ラッタイ東側の城門

土台部分はゲームのものとそっくりだが, 上の建物はもっと後の時代のもののようだ. また, 城壁と城門は撤去されている.

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仰角図


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東の城門から南の丘方面へ


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ノイホフ方面への街道

上城 (the Upper Castle)

上城だったところは現在は資料館や公会堂になってるようだが, 私が訪問したのは土曜日だったため閉館していた. ゲームの写本によれば, 上城は17世紀ごろにバロック様式の城館として再建されたので, 現在の姿はその頃のものなのだろう.

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南側の城壁


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西側の入り口

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門の上に何か書かれている.

城の西側の入り口には金属製の看板があり, 解説が書かれていた. 帰国してからグーグル翻訳を頼りに日本語にしてみた.

門の上のラテン語の銘文は次のように訳されます. 「1675年, タルンベルク城主である輝かしきフランクチシェク・マクシミリアーン卿とその妻クストショヴナのエヴァはタルンベルク家が末代まで続くこと, ラッタイの城が廃墟から蘇ることを願う. この城を購入するものは誰であれ, どうか善きナザレ人として生きることを神に願う!」

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城の中庭 #1


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城の中庭 #2

右端に撤去された城壁の痕跡がある.

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城の中庭 #3


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城の中庭 #4

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城の裏口


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城内に貼られていた、クトナー・ホラを中心とした観光案内地図

街の広場 (the Town Square)


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街の広場 #1


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街の広場 #2


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街の広場 #3

聖マタイ教会 (St. Mattew's Church)

聖マタイ教会の撮影位置は, ゲーム中ではちょうど肉屋のある場所なので, 同じ構図の画像を用意できなかった.

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聖マタイ教会


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聖マタイ教会にあるリーパ家の紋章

教会の塀にも解説文があったはずだが, どうやら記録するのを忘れてしまったようだ.

下城 (Pirkštejn Castle, the Lower Castle)

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西側の城門


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西側の城門, 内側から


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城の塔

休日だからか, 自家用車で城を見に来る人がちらほらいた.

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城門


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日曜日の昼なら管理者に連絡して塔に入ることができるらしい


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街の広場から

塔にも解説が書かれた看板があった.

ラッタイ (Rataje) は1900 年まではラタイェ・フラゼネー (Rataje Hrazené, 城壁に囲まれたラッタイ)という名称でした. 市壁は街と城の両方を囲んでいました. ラッタイ上城は現在の公会堂の場所に建っていました.上城の門は1890年まで存在し, その前の深い濠には橋が架かっていました. そしてここピルクシュテイン城は, 14世紀にリパーの領主 (訳注: KCDの写本によればハンス・カポン卿の父ヘンリー(ヒネク・プターチェク卿) ) によって建設されました. 現在は教区事務所となっています. 門には市章が描かれています.

現在は濠のあった場所は停留所になってるが, 100年くらい前まではゲーム中のような姿だったらしい. しかし, 門の市章というのはなんだろう? 見落としていたかもしれない.

外観 (Outside View)

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南の小川から


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西から

撮影場所とゲーム中の位置は以下のようになる。

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ラッタイでの撮影場所一覧

一通り撮影し終えてたので, サーザヴァに行くことにした. 駅は街の西側の, ゲームでいう水車小屋や風呂屋のあたりにある. しかし, この路線は現在使われていないので, ここでもバスに乗ることにする. バス停らしき場所は2箇所あったが, 離れたところにあるほうは行き止まりだったので, 街に近い方のバス停で待った. しかしいつまで経っても来ない. もう一度奥のバス停に行くと, よく見たら時刻表に手書きでなにか書かれている.

ここに来るバスは村の中に停車することになりました (もちろんチェコ語で書かれている)」

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いちおう直前に車掌さんに確認を取ったのだが, やはりうまく通じてなかったのだろうか. 車掌さんは親切だったが, 英語を全く話してくれなかったので自分は聞き取れた単語だけ繰り返して相槌を打つしかなかった. ジェスチャーでもなんでもいいからもっと確実な方法でコミュニケーションを取るべきだったか...
次のバスは1時間以上ある. ここで遅れると, これ以降の移動にも支障をきたす. 街に戻ると, また新しく下城を見学に来た現地の人たちがいた. 頃合いを見て男性に話しかけると, 英語で答えてくれた. とりあえず代わりにタクシーを呼んでくれないかとお願いしたが, 来てくれないようだった. タクシーの需要のない田舎だったからか, 言葉も通じるか怪しい日本人を乗せたくないからかはわからない. 他にもいろいろ質問して, 結局街のなかで次に来るバスを待つことにした. 男性にお礼を言って分かれる.
バスを待つのは退屈だったが, 現地の親子がバス停のある空き地でボール遊びを始めたので, 男の子がボールを取りこぼしたらたまに乱入してボールを捕ってあげたりしていた.

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ラッタイの橋の下にあるバス停 (Google Map より)

タルンベルク (Talmberk)

ラッタイからサーザヴァ行きのバスは, タルンベルクを通過する. バスからタルンベルク城を見ることはできたが, タイミングが合わずにうまく撮影できなかった. 雨もひどかったのでタイミングがあってもうまく撮れたかはわからないが.

ササウ (Sasau)

バスでサーザヴァへ向かう道では, 右側に二度ほど聖堂を見ることができる. そのうち停留所に近い方のものを撮影してみた.

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聖堂/A Roadside Chapel


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サーザヴァ川の向こうの修道院

ゲーム中で宿屋のあった場所には, やはりホテル兼レストランらしき施設があった.

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川のそばの宿屋

修道院

現在, 修道院は補修工事のため, あちこちに足場が組まれている. しかし, むしろ建設中だったゲーム中の雰囲気を出している.

撮影しようとゲームを起動すると, なぜかこちらでも雨が降ってしまう.

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修道院と荘園


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修道院の荘園


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修道院の入り口


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ヨハンカたちのいた宿舎

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礼拝堂 #1


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礼拝堂 #2


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礼拝堂 #3


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礼拝堂 #4


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中庭の礼拝堂

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2つの礼拝堂

また, 修道院の回廊内を見学することもできる. 入り口が開放されており, また受付の人が見当たらなかったため, 勝手に入って中を見ていた. 中に職員がいればそこで入場料を払うのだろうと考えた. 内部は確かにゲームそっくりだった. しかし, 少し入ったところで職員に制止されてしまった. どうやら閉館時間のために見回りをしていたので受付に誰もいなかったようだ. 以下のサイトを確認すると, 春季は 15:30 閉館と, ほかの観光地と比べて閉まるのが少し早い.

www.klaster-sazava.cz

もしこの記事を見て現地へ行こうと思う方がいるなら, この辺りは日本人は全く来ないと思うので, 現地の人に日本人に対する悪印象を与えないためにも, 事前によく確認して欲しい. なお, 当時そこにいた職員は英語で話してくれなかった.

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だいたいこの辺で私も怒られた.


ちなみに私や DMM Games のプレスチーム以外にも修道院を訪ねた日本人はいる.

makimomo.com

聖マルティヌス教会

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聖マルティヌス教会

ここを撮影したあたりで, 激しいにわか雨が降り出した. 土曜日だからかあたりの飲食店もことごとく閉店しており, 雨宿りできる場所がなかった. スマートフォンも取り出せないほど酷い雨で, かなり不安を感じながらなんとかバスの停まった Sázava 駅まで逃げ帰った. ベンチが1, 2つあるだけの狭く古い駅舎だったが, 空調が効いており入った瞬間, 安堵した. 日本を出る直前に念のためと思って買った雨具がなければ, もっと大変なことになっていただろう. ちなみに買ったのはこれ.

www.muji.net

スカーリッツ (Skalitz)

スカーリッツとロヴナの様子も見てくる予定だったが, バスに乗り遅れた上, 服がすっかり濡れて、気温も下がっていたため帰らざるを得なかった。また、相変わらず雨が激しいため, 車内から外を撮影するのは難しかった. 駅はゲーム当時の市街地からやや離れたところにある. 銀山の東側の, ロヴナからササウへ南下する街道あたりだ. 写真は撮れなかったが, ゲーム中の丘陵地帯を連想させる地形だった.

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スカーリッツの銀山跡?

帰路

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チェルチャニ駅の地下通路

それでも足元はびしょ濡れで, 乾かす手段もなく, プラハのホテルにたどり着くまでずっと寒さに震えていた. そして, このような地域は外国人観光客が来ることを想定していないのだろう. さらなる罠が待ち構えていた. チェルチャニでプラハ行きの列車に乗り換える必要があったので, 車掌にプラットフォームの場所を確認した (彼は陽気で親切だった). しかし, チェコではダイヤが日本ほど厳格ではない. 直前で停車プラットフォームの変更があったらしい. 駅には電光掲示板があるのだが, 停車フォームだけ故障しており, しかも変更に関するアナウンスはチェコ語で1度放送されただけだった. ぼうっとしていたら乗り過ごしたに違いない.

プラハ本駅に到着し, ホテル行きのトラムに乗ると, たまたま到着したばかりの中年の日本人夫婦の観光客と出会った. 話を聞くと, どうやら二人は乗るべきトラムを間違えたようだ. プラハでは同じ乗り場からルートの違うトラムが発着するし, 日本と違い右側通行だしでたしかに間違えても仕方ないだろう. 私なんかこの直後にも2回乗り間違えたし, 日本国内でも間違えずにバスに乗れた試しがない. 二人を案内してあげる時間的余裕はあったものの, まだ寒くて震えており, 風邪でもひいたら大変なので本当に簡単なアドバイスだけをして別れた.

アクセス

繰り返すが, ゲーム中でラッタイ (Rattay) と呼ばれている町は, ラタイェ・ナトサーザヴォウ (Rataje nad Sázavou) という. すぐ近隣には ズルチュ・ナトサーザヴォウ (Zruč nad Sázavou) という町が, 南ボヘミア州のターボル郡にも Rataje という町があるが, 別物であるので注意. さらに, ポーランドにも Rataje という町がある. そのため, 行き先を間違えやすい. グーグルマップなどでルートを確認するときは注意.

トロスキ城編と同様に, マップを用意した.

drive.google.com


サーザヴァ川周辺は KCD に最も縁のある土地でありながら, 今回の旅行の中で最もアクセスが難しかった. 2019年5月4日当時, 鉄道工事のため, 一部区間が運休し, 代わりにチェコ鉄道によるバスが走っているという変則的な状況であった. 観光地として知名度もさほどないため, 英語の案内もあまりない. 現地のバス停にダイヤと発着場所に関する変更が手書き (もちろんチェコ語) で書かれているというありさまだった. この時点では, バスは街の中央の停留所 (ゲームでいうと東側の城門のあたり) にしか止まらなかった. プラハから行く場合, スカーリッツ (Skalitz; Stříbrná Skalice) から先に行く場合と, ラッタイから先に行く場合とで, 最短ルートが変わる. 前者の場合は北のコリーン (Kolín) でレデチコ (Ledečko) 行きの各駅停車に乗る. 線路があるのはウフリーシュスケー・ヤノヴィツェ (Uhlířské Janovice) まで*2で, そこからは代替バスに乗り換え (車掌もバスに同乗する), ラッタイまで行く. 後者の場合は, チェルチャニ (Čerčany) でサーザヴァ行きの各駅停車に乗り換える. 近くに停車駅のある街は, 他にはスカーリッツ, レデチコ (Ledetchko; Ledečko) とサモペシュ (Samopesh; Samopše) のみである. タルンベルクとウジッツ (Uzhitz; Úžice) そしてメルホイェド (Merhojed; Mrchojedy) 行きの公共交通機関はない. また, 休日は運行の頻度が減る. 各集落は直線距離では大して離れていないが, 蛇行するサーザヴァ川に阻まれるせいで, どうしても道のりが長くなってしまうため, 徒歩で移動するのはおすすめしない. そもそも, 歩道の整備されていない林道がほとんどで, また人通りもあまりないため万が一事故に遭えばかなり危険である.

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当日使用したチェコ鉄道の切符

今回は, コリーンとウフリーシュスケー・ヤノヴィツェを経由して先にラッタイへ行くルートを取ったが, これは土曜日でダイヤが少なかったからである. できれば平日に行ったほうがスムーズに見て回れるだろう.

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ウフリーシュスケー・ヤノヴィツェの中心部
ウフリーシュスケーというのは木炭あるいは石炭という意味らしい. 昔は木炭か石炭の産地として有名だったのだろうか.

また, 私以外にも観光用の地図を作成している人がいる.

www.mapotic.com


ja.foursquare.com

宣伝

6月27日発売予定の日本語版パッケージの公式予約ページ

kingdomcomerpg.games.dmm.com

すでに発売している北米版

Kingdom Come: Deliverance (輸入版:北米) - PS4

Kingdom Come: Deliverance (輸入版:北米) - PS4

Steam 版

store.steampowered.com

*1:現地は一面畑があるだけなので, 実際にはこういう地名はない

*2:作中でも, ヤノヴィッツという地名が何度か言及される. おそらく Janovice のことだろう. Janovice という地名はチェコに複数あるが, ゲームの場所と最も近い街はこのウフリーシュスケー・ヤノヴィツェである.

キングダムカム・デリバランス 2019: トロスキ城編

Kingdom Come: Deliverance in 2019, Trosky Castle

はじめに

このページはキングダムカム・デリバランス (KCD; Kingdom Come Deliverance) の一人のファンが作成した非公式・非ダウンロードコンテンツ第1弾である.
2019/5/3 に私が訪れたトロスキ城 (Hrad Trosky; Trosky Castle) を紹介する.

なお繰り返すが, 私は Warhorse Studios の関係者でも DMM Games の関係者でもない.

プラハからの道のり

トロスキ城の写真だけ見たい人は飛ばしてください

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チェルニー・モストのバスターミナル

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駅の前で行われていたフリーマーケット?

プラハ市内から地下鉄で郊外のチェルニー・モスト (Černý Most) へ行く. ここは地方行きの長距離バスのターミナル駅がある. バスはハイウェイを走り, ムラダー・ボレスラフ (Mladá Boleslav) に到着する. ここにはチェコ国内有数の自動車メーカー, シュコダ自動車 (Škoda Auto) の本社工場があった. バスもその前を通った.

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シュコダ自動車の本社工場

終点のトゥルノフ (Turnov) 駅. バスターミナルとチェコ鉄道 (ČD; České dráhy) の駅がある.

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トゥルノフ駅の案内板

トロスキ城のあるチェスキー・ラーイ (Český ráj) は英語で Bohemian Paradise とも呼ばれる, 自然保護区域である. このため, 自然風景がとても美しいのだが, 保護区域であるがゆえに道路や線路を迂回させるをえず, アクセスを困難としている. トゥルノフはその北にある街である. トゥルノフからトロスキ城へ行くには外縁部の幹線道路を通るバスで南東へ向かう. バスターミナルには観光名所の宣伝案内がいくつもある. 『地球の歩き方』では紹介されていないが, チェスキー・ラーイ周辺は結構見どころが多そうである. とはいえ, 日本人観光客には敷居が高そうである.

http://www.cesky-raj.info/en/


ボレク (Borek) へ向かう. そのまま同じ場所で待つべきだったのだが, 間違えて反対車線へ移動してしまったため, 乗りそこねてしまう. 仕方ないので歩いて向かうことにした.

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ボレクの停留所

遠くの方に尖ってるものが見えるがあれがトロスキ城だろうか? 左の小屋がバス停. ここでのんびり写真撮影していたらバスが反対車線を通り過ぎてしまった.

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チェスキー・ラーイにいることを表す看板

馬や羊を飼う民家が多い.

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馬と羊

キャンプ場があり, 周辺にはサイクリングや犬の散歩をしている住民がいる.

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キャンプ場

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ひたすら林道を進む

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池を2つほど通過する

トロスキ城とは

トロスキ城に関する日本語の情報はあまりない. ネット上で調べた範囲では, 「トロスキー城」という名称で一度メディアに紹介されたことがあるようだが, 実際に行ったことのあるという話はあまり見られなかった. あっても旅行者ではなく, 現地で車を運転できる駐在社員やその家族のブログがいくつか見つかる程度だった.

www.hrad-trosky.eu


トロスキ城は1380年ごろに建てられたとされる. これはゲーム開始のおよそ20年前である. 三十年戦争の頃に焼損してからは放棄されたようで, 近代的な改修をされることもなく, 中世の築城の面影を色濃く残しているようだ. 以下, ネタバレにはなるが, 本筋に関わることでもないから大丈夫だろう. ゲーム中にトロスキ城そのものは登場しないが, 終盤で, ヴァーツラフ王 (Wenceslas, Václav) から造反し, ジギスムント王に加担した貴族同盟 (League of Lords, Panská Jednota) が戦乱の原因の一つであると言及される. 貴族同盟のメンバーの一人, ベルゴウのオットーIV世 (Otto IV von Bergow, Ota IV. z Bergova) の居城がトロスキ城であると明かされる. 彼がボヘミアの戦乱を終わらせるためのキーパーソンであることは疑いようがなく, KCD の続編が作られるなら, トロスキ城も登場するかも知れない.

追記: というか KCD 開発責任者のダニエル・ヴァーヴラ (Daniel Vávra) 氏の Twitter アカウントを確認したら, 何度もトロスキ城に言及していた. 次回作の準備も着々と進んでいるようだ.



以下の写真は後述するグーグルマップに撮影場所を記載している.

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林道を抜けてついに城の姿を拝む

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少しづつ近づいていく

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正面に捉えた

ここでは左折するのが正解. 右へ進んでも城へはたどり着けない.

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道路は蛇行しており, なかなか近づけない

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バス停近くから

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ふもとのキリスト像と城

突岩には2つの峰があり, それぞれに塔が建てられている. 西側が Panna (乙女) の塔, 東側が Baba (老婆) の塔と呼ばれている. 後者のほうが高い.

トロスキ城に入場

ほとんどの観光客は自家用車で来ているようだ. ナンバープレートを見ると, ポーランドから来ている人も多いようだ.
入場料は大人 90 コルナ. 子供料金や団体割引や障害者・高齢者割引もあるみたいだが私は該当しないので確認していない.

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城の入り口

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鳩小屋

中世の古い城なので, 城内はけっこう足場が悪い (でこぼこしている, 石段が外れているなど) ので気をつけてほしい.

まず Panna 塔を登った. 内部はよくある尖塔と同様に, 急峻で狭い螺旋階段である. 実際に登ることができるのは手前の低い塔だが, これくらいの高さでも登るのはかなり疲れる.

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Panna 塔

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Panna 塔への階段

屋上. ウィキペディアのパノラマ写真では Panna 塔の屋上に双眼鏡があるが, 私が行ったときはなくなっていた.

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Panna 塔の屋上 #1

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Panna 塔の屋上 #2

ここで小中学生くらいの現地の子供の集団に会う. 急に「こんにちは」と挨拶されたのだが, こちらも急に挨拶されたので驚いて返事が片言になってしまった. 欧米ではアジア系ならだいたい中国人という認識でニイハオと声をかけられる, というような話をたまに聞くが, 現地ではそういうことはなく, なぜかみんなすぐに私を日本人だと特定していた. トゥルノフ駅でバスを待っているときも, 現地のおばちゃんたちが「日本人かしら, 珍しいねえ」みたいなことをひそひそ話していた (ほとんど聞き取れなかった). しかし一方で, プラハ市内では日系人より中国料理店や明らかに中国語で雑談しているアジア系の店員を見かけることが多かった.

次に Baba 塔へ.

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Baba 塔

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Baba 塔の外観

こちらは塔の北側に外付けされた吹きさらしの階段を登るので, かなり強い横風が当たる. 途中に金属製の鳥瞰図が置かれていた.

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Baba 塔の中腹

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鳥瞰図



屋上. Panna 塔の展望台を見下ろすことができる. Panna 塔の展望台にいるのは先程のこどもたちの集団.

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Baba 塔の屋上

屋上からの景色. この辺りの地形は中世のころから変わってないのではないだろうか. これほど見晴らしが良ければ, 敵の接近もすぐに発見できただろう.

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Baba 塔からの景色 #1

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塔からの景色 #2

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受付で購入したポストカードとコイン

最後に, バスに乗りそこねたともあったので, 売店の人にバス停の場所を確認してもらう. 親切にも英語で説明してくれた. しかし「たぶんここだと思う. 私も使ってないからわからない」と言われてしまう. 結果としてバスでトゥルノフまで帰ることができたので良かったが.

アクセス

今回は以下のような日程とルートで行った. なお, これは平日ダイヤであり, iDOS のルート検索を信じるならば土日祝日は公共交通機関による移動は不可能である.

グーグルマップに, 撮影した場所と経路図を掲載した.

drive.google.com


10:45 チェルニー・モスト (Černý Most) のバスターミナル発, トゥルノフ (Turnov) 行きのバスに乗る. チェルニー・モストはプラハメトロのB線終着駅なので迷うことは少ないはず.
12:08 トゥルノフのバスターミナル着.
12:33 イチーン (Jičín) 行きのバスに乗り換える
12:58 フルバー・スカーラのボレク (Hrubá Skála, Borek) で降りる
13:00 イヴィナ (Jivina) 行きのバスに乗る. ただし自分はここで乗り継ぎを間違えた. (その上、遠回りなルートを選んでしまっている) しかし, 結果としてトロスキ城へ徐々に近づきながら写真を撮ることができた.
13:09 トロスキ (Trosky) で降りる.
バス停からトロスキ城までは300m程度あるようだ. 当然ながら坂道である. 見晴らしが良いので迷うことはないだろう. グーグルマップでは「案内所」があると書かれていたが, 実際には閉鎖されて長く経っているようだ. レストランは営業していた.
今回はバスに乗れず1時間半くらい歩くことになってしまった.

15:48 Trosky で トゥルノフ・テルミナール (Turnov, Terminal) 行きのバスに乗る. グーグルマップの画像は古いのでバス停らしきものはなにもないが, 現在は何も書かれていないバス停の標識と, 申し訳程度のプラットフォームと, バスの停止線が書かれている. 帰りはシェルターのない側の道路で待つように.

16:13 テルミナール着
16:44 チェコ鉄道の急行 R 1149 Jizera に乗る
18:28 プラハ・ヴィソチャニ (Praha-Vysočany) で降りる
18:41 プラハ本駅 (Praha hl. n.) 行きの急行 R 942 Hradečan に乗る
18:49 プラハ本駅着

なお, 今回使ったバスはすべて BusLine の運営するバスだった. このバスは日本国内の高速バスに似て, 乗車時に運転手に行き先を告げて, その場で料金を払うようになっていた.

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バス乗車券の例. トロスキ城からトゥルノフ駅へ

追記: この他にも、鉄道でフルバー・スカーラ Hrubá Skála まで行き, ボレクでトロスキ行きのバスに乗る, というルートもある(観光局のガイドには鉄道の直通路線がある, と書いてあるので, こちらのことを言っていると思われるが、私は乗り換えが必要なルートしか見つけられなかった). このルートなら外国語でやり取りする頻度が減るが, 所要時間が増えてしまう. 今回は早朝に出発せずに済むようバスを使った.

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