はじめに
最近 Kingdom Come: Deliverance (KCD) というゲームにハマっている。翻訳をしながら進めているので、実際のプレイ時間の倍以上の時間をかけている。
KCD に触発されたファンの一人である Random Innkeeper 氏が、中世ボヘミア料理の再現に取り組んでいる。彼は作り方を YouTube で公開している。今回、自分もこれを真似して作ってみたので紹介する。
2020/4/22 追記: 上記動画に日本語字幕を追加させてもらった
料理名は、英語で "fake drumsticks" と書いているが、チェコ語では
sekanina slepičí s černou omáčkou
というらしい。日本語にするなら、「雄鶏のハッシュ、黒いソース和え」と言えばいいだろうか。
Its “Středověká kuchyně” and recipe is “Sekanina slepičí s černou omáčkou”, but I doubt you find it on the internet. I have medieval cookbooks :)
— Random Innkeeper (@RandomInnkeeper) 2019年4月10日
本人も言うように、レシピはチェコ語で書かれた中世料理の専門書に書かれていたものであり、ググっても作者の動画を除き、英語はおろかチェコ語の情報すらほとんど発見できない。そのため、必然的にこの記事も初の日本語による中世ボヘミア料理紹介記事となる。
作者は動画で「当時は挽肉器もなく、挽肉がとても高価だったので貴族しか食べられなかった」と述べている。また材料に使われるサフランは中世において (現代でも) 最も高価なスパイスの1つだった。つまりこれは当時の貴族階級や富裕層の食事ということになる。
材料
今回私が作ったやり方を紹介する。分量は作者のものより少ない。
- 鶏肉*1300 g (5本くらい)
- ベーコン 150 g*2
- 生卵 2個
- 塩 少量
- 胡椒 (顆粒がよい) 少量
- 生姜*3 少量
- シナモン 少量
- サフラン 少量
- パセリ 少量
- 赤ワイン*4 100 cc くらい
- パン粉 (または小麦粉) 大さじ 1杯
その他: 肉挽き機が必要。どうしても用意できなければ小麦粉を用意すること。
ハッシュを作る
1. 鍋に水を張り、塩と胡椒を加え、鶏肉を茹でる。時間は30分くらい。
2. 卵も2つのうち1つだけを固茹でにする。並行して茹でると時間短縮。
3. 鶏肉を取り出す。茹でた汁も残す (図4)。
4. 骨から身を取る。軟骨や皮は捨てる。包丁を使い慣れているなら使ってもいいが、慣れない人は手を切る恐れがあるので、冷えてから手でむしったほうが安全だと思われる。骨は捨てずに保存する (図5)。
5. ベーコンを細切れにする。
6. フライパンでベーコンをカリカリになるまで炒める。写真では中華鍋を使ったが、やりづらかったので普通にフライパンを使うべきだった (図6)。
7. ゆで卵を細切れにする。
8. 肉挽き機で鶏肉をミンチにする。なければ可能な限り叩いたりみじん切りにしたりする。
9. ベーコン、ゆで卵、鶏肉をすべて同じボウルに入れる。
10. さらに、生姜、サフラン、パセリ、塩コショウを少々入れる。
11. 生卵も1つ加えて、よくまぜる (図7)。ミートローフやハンバーグを作れるように、よくこねる。今回は肉挽き機がなかったため、小麦粉を大さじ3杯ほど混合して粘りをもたせようとしたが、あとで示す画像からわかるように、あまりうまくいかない。肉挽き機はあったほうが良い。
12. 骨に肉をつける (図8)。
鶏肉の茹で汁で、これを茹でる。時間は10~15分くらい。沸騰すると崩れる恐れがあるので、激しく沸騰しない程度の温度にする。しかし、今回のように小麦粉で粘りをつけただけだと、沸騰していなくとも煮崩れしてしまうため、非常に難しい (図9)。
ソースを作る
1. 油を引かないフライパンで、パン粉がきつね色になるまで弱火で空炒りする。
2. ワインを加える。激しく沸騰させないように温度に気をつける。甘いソースを作るので、甘口の赤ワインなら何でも良い。Random Innkeeper 氏はイチゴワインを使ったそうだ。
3. 生姜、胡椒、シナモン、サフランを少々加える。
4. ここで、砂糖を加えて甘くしても良い*5。
盛り付け
皿にソースを引き、茹でたハッシュを並べる。