Sarmaticus

誰も読まないような趣味の話しかしないほうのブログ

[料理] ソード・アンド・ピエロギ

概要

某所へピエロギを食べに行こうとしたら臨時休業だったのでむかついて自分でピエロギを作った*1. その際の作り方のメモ. タイトルはウィッチャー3のクエスト,「剣と団子 (miecze i pierogi)*2」のパロディ.

f:id:ill-identified:20190226030229j:plain
The Witcher 3 Wild Hunt, 2015, CD PROJEKT RED

ソード

今回はソード要素はない*3. 苦し紛れに以下のような画像を掲載する (図1). この包丁は中国語で砍切刀というのでソードと言えなくもない.

f:id:ill-identified:20190226015138j:plain
図1: ソード?

ピエロギ

見た目どおり, 餃子とほぼ同じである. しかし, バターや卵を使っており, 味付けはいかにもヨーロッパっぽい. 日本語での情報が少ないので, 英語・ポーランド語の情報を主に参考にした. 実際に作ってみると, 説明されていること以外にも注意すべきことが多くあるので, それらも今回書いておく.

餃子はふつう挽き肉と刻んだ野菜を入れるが, ピエロギでは肉以外のものを入れることが多い. ポピュラーなのは, マッシュポテトとチーズを混ぜた, 「ロシア風ピエロギ (pierogi ruskie)*4」である. 今回はこれ以外にもキノコとザワークラウトの詰物でもやってみた. また, 日本の餃子と比較すると, 生地が厚く, 形状も半円形に近く, 焼くより茹でる場合が多いようだ(参考: 図2). よって, どちらかと言うといわゆる「日式餃子」よりも中国の餃子の形に近い. ポーランドの立地や中近世の文化から言って, アジアの影響を受けたのかも知れないが, 果たして独自に考案されたのか, 中国から伝わったのか, 正確なことは私にはわからない.

f:id:ill-identified:20190209172657j:plain
図2: ポンチキヤのロシア風ピエロギ, 某日筆者撮影

作るに当たって, 以下を参考にした.

  1. www.youtube.com これがとても参考になったが, 断続的なBGMがちょっとシュール. ポーランドアメリカ人?のレシピなので本国と若干異なるという意見が見られる (ポーランド人の紹介してるレシピもけっこうばらつきがあるのでそこまで気にするものでもない気がする).
  2. www.youtube.com
  3. www.thespruceeats.com
  4. honest-food.net

情報源によって作り方に差異があるので, 主に動画1を参考にした.

材料

いろいろな具を試したかったので, 生地以外の分量はわりといい加減にやったため記載しない. ロシア風ピエロギをだけを作りたい場合, この生地に対してだいたいちょうどいい量になる.

  1. 生地 (だいたい20個くらいできる)

    1. 小麦粉 (薄力粉) 200 g (およそ 600cc, 打粉のため余分に 100gくらいあるとよい)

    2. 水 150cc (ぬるま湯にする)

    3. 卵 1個 (室温くらいに温める)

    4. 塩 小さじ 1/2

  2. 詰め物 (ロシア風)

    1. ジャガイモ (男爵いも) 500 g*5

    2. バター 50 g

    3. チーズ 80 g

    4. タマネギ 半分

    5. ニンニク 1欠片

    6. 塩 小さじ1杯

    7. コショウ 少々

  3. 詰め物 (キノコ)

    1. マッシュルーム タマネギと同じくらいの量

    2. タマネギ 半分

    3. バター 少々

    4. ニンニク 1欠片

    5. 塩 少々

    6. コショウ 少々

  4. 詰め物 (ザワークラウト)

    1. ザワークラウト タマネギと同じくらいの量

    2. タマネギ 半分

    3. バター 少々

  5. 付け合せ (任意)

    1. バター

    2. サワークリーム

    3. タマネギ

この他, 底の深い大さじを用意すると, 詰め物をすくいやすい.

初心者は形成しやすいロシア風ピエロギから始めると良い. 粒子の大きさがばらばらだと, 均等に詰めるのが難しいが, マッシュポテトならその心配は殆どない. よってここから, マッシュルームやザワークラウトは, なるべく細かく均等に刻んだほうが作りやすいとも言える.

手順

生地

まずは生地の作り方を紹介するが, 実際には詰め物を先に作ったほうが良いと思う.

生地の材料をすべて, 大きなボールの中で混ぜる. ただし, 卵は水と同じカップに入れて先にかき混ぜておいたほうが簡単だ. 生地がまとまってきたら, 台の上でこねる. こね方はパンやポンチキと同じようにするが, 粘りが多すぎる(=柔らかい)と破れやすく形成しづらいため, 多めに打ち粉して粉っぽく, やや固くしたほうが良い. イースト菌は使わないので, 叩きつける必要はない. ある程度きめが細かくなるまでこねたら, 丸めてボウルに戻し, ラップなどで水分の蒸発を防ぎ10分ほどねかす (図 3).

f:id:ill-identified:20190223185140j:plain
図3: 完成した生地

詰め物

マッシュポテト: ジャガイモを, 箸が難なく突き刺さる程度まで茹でる. その間にニンニクとタマネギをみじん切りにして, バターでソテーする. これらが完成したら, ボウルの中でジャガイモを崩しながらチーズとバターを混ぜる. よく混ざったら, ソテーしたニンニクとタマネギ, 塩コショウを加えて混ぜる. ポテトマッシャーやハンドミキサーがあると楽である. チーズはリコッタ, ファーマーチーズ, カッテージチーズなどいろいろな種類が紹介されているが, 日本国内のスーパーではあまり売ってないのでなんでもよい. カマンベールチーズあたりが量や価格的に手軽かもしれない. 十分に混ざったらあら熱が取れるまで放置する. 保管するときは水分が抜けないように注意 (図4).

それ以外: 適当にバターでソテーする(参考: 図5, 6).

f:id:ill-identified:20190226015639j:plain
図4: マッシュポテト
f:id:ill-identified:20190226015700j:plain
図5: ソテーしたマッシュルーム
f:id:ill-identified:20190226015726j:plain
図6: 自作ザワークラウト (半年前に作ったため大きく変色している)

ピエロギの形にする

生地を3mm程度の厚さに伸ばす. よって日本の餃子よりも厚めである. 抜き型はポンチキのときと同じで, 直径約8cmのマグカップで切り取った. しかし, 大きさや厚さが不均一だとピエロギの形状もぶかっこうになりやすいので, 気になる人は広い台と金属製の抜き型を用意したほうが良いだろう.

切り抜いた生地に大さじですくった詰め物を乗せる (マッシュポテトに限れば予め丸めておくことも可能). この辺の動作は動画2を参考にする. 手さばきはほぼ餃子と同じである. 左手のひらに生地を乗せ, 右手の親指と人差し指で手前をつまみ, 左手の親指と人差し指で反対側の端をつまんで接着させる. 詰め物はいずれも油が多く含まれているため, 生地の縁に付着しないよう注意すべきである. 油分があると生地が上手く接着しない. 縁に詰め物が付着しないように中指や小指で押し込みつつ. 両側も閉じていく. 生地が乾きすぎて接着しない場合は, やはり餃子のように水で湿らせた指で縁をなぞる. ポンチキヤのピエロギは耳がさほど大きくないが, ここでは剥がれないようにしっかり押し付けたため, 耳が大きくなっている (図7). 慣れないうちは, 同じ形状・大きさにするのが難しい.

f:id:ill-identified:20190223191920j:plain
図7: 茹でる前のピエロギ

茹で終わったピエロギはくっつきやすいので, 茹でる前に油 (サラダ油でよい) を塗ったバットを用意しておく (図 8). ほどほどに沸いた湯にピエロギを静かに入れる. 数分茹でると浮き上がってくるので, さらに30秒ほど茹でてから取り出す.

f:id:ill-identified:20190226015819j:plain
図8: 茹でたピエロギ (フォークで模様をつけたもの)

ピエロギを作るのに最低限必要なのは茹でることだが, 茹でた後にさらにバターをひいて, 焼き目が付くまでソテーすることもある.

盛り付けるときに, サワークリームやソテーしたタマネギの素揚げを添えることも多い (図 9). 有田焼風の皿に盛り付けると餃子にしか見えないが, バターやチーズをふんだんに使っているため, 味付けは完全に洋食である.

f:id:ill-identified:20190226015856j:plain
図9: ソテーしたピエロギ

ロシア風ピエロギの断面は図10のようになる. ポンチキヤのピエロギはもう少し白っぽかったので, もしかしたら卵を使ってないのかもしれない (卵を使わないレシピも見かけた). 何にせよ一応ピエロギらしきものはできた.

f:id:ill-identified:20190226015923j:plain
図10: ロシア風ピエロギの断面図

*1:その後もう1回行って食べた

*2:英語版では ”Of swords and dumpllings“ となっている. ウィッチャー3の日本語版テキストは英語版を訳しているのか, 本来のピエロギの意味が消えてしまったと考えられる.

*3:食べに行った日は同時に某所で剣術を習いに行ったのでそのへんがソード要素である

*4:しかし, ポンチキヤのメニューによると, 「ロシアにはこんな料理はない」とのこと. そういえばジャガイモを入れたロシア風サラダという料理があるが, あれもロシアとあまり関係がない. https://pl.wikipedia.org/w/index.php?title=Pierogi_ruskie&oldid=55532391 によると, この場合の ruskie は正確にはロシアではなくキエフ・ルーシ, 現在のガリツィア (ハールィチ) 地方のことを意味するらしい.

*5:明らかに余るが, 単体でも食べられるので多めに作っても問題ない