最近, Mod.io やNexusModsなどブレードアンドソーサリーのmodを配布しているサイトで, ウィルスを仕込んだ悪意のあるファイルが公開されている例が何度か発見された. 既に公式discordなどでこの問題に関して注意が喚起されているが, このゲームの日本語のコミュニティはほぼ存在しないので, 英語で情報収集ができない人たちの間では知られていない可能性が高い. そこで, 私もとりあえずここで注意を喚起しておく. といっても, 公開されて数時間くらいしか経っていないような新しすぎるmodは用心してダウンロードしないでおく, というくらいしか, 誰でもできる対策はない. 公式Discordでは, ユーザーや開発メンバーが実質的にほぼ24時間体制で監視しているので, そういったマルウェアが仕込まれた場合はすぐに発見される事が多い.
始めに
5/4に新たなニュースリリースがなされたので紹介する. 2/28のぶんもまだ公開していなかったのでついでに紹介する.
原文
store.steampowered.com昨年10/5のアナウンスでは「正式リリースは2024年の第1四半期のリリースと見込んでいるが, 確約できない」という話だった. 事実, 第一四半期を既に過ぎている. しかし, 今回はより強気なアナウンスがなされている.
「このリリースが正式版(v1.0)に関する最後のプレビューであり, 次回公開されるのはきっと正式リリースのトレーラーだ」
ということなので, いよいよリリースが近いようだ.
2/28の, 新規マップに関する進捗報告
原文
Blade and Sorcery - Crystal Hunt Environments Preview - Steam Newsstore.steampowered.com
このアナウンスは, 主に新規マップ設計の進捗について述べている.
ようやくクリスタルハントモードのコア部分の仕上げ段階に入った. ダンジョンの新規マップはかなりの数が作られた. (全部の画像に対してリンクを貼るのは本意ではないので, こちらに引用する参考画像の数は最低限にしておく.)
開発元の公開した画像の引用
前回の予告通り, 1つ1つの部屋がかなり大きく作られているようだ. 以前のアナウンスのように, 最近のゲームのように何もかもお膳立てされたゲーム設計ではなく, むしろ古いゲームのように自分で試行錯誤したり謎解きに想像力を働かせたりする内容になっている. もちろん, 謎解きをガン無視してゲームを進めることも可能だとしている.
ダンジョンの外観は, 見飽きた「中世風」以外のものにしようと考えていた. 自覚があったかなかったか, エラデンの建築様式は現実の西ヨーロッパ, 中世フランスやケルトやアイルランドに影響を受けていた. しかし, ダンジョンの見た目を現実世界の何かを想起させるようにしないように注意して作りたいと開発チームは考えている. その一方で, ゲームによくある紋切り型の不気味な廃墟とか墓所のようなデザインも避けたいと考えていた. この遺跡は長年にわたって何者も寄せ付けなかった, 古代文明の遺跡という設定から離れないような設計を実現したかった. さらに, ゲームのコンセプトはプレイヤーの想像力をはたらかせることなので, あからさまに誘導するようなものであってはならない. この部屋はかつてどういう用途だったのか, ということをプレイヤーに想像させたかった. その影響で, 既存のサンドボックスモードのマップの一部にも, 設定を反映した変更が加えられている. 例えば, スカイドームにはオロンという天体が新たに反映されている.
それから, VRの限界まで, ゲーム体験の改善に取り組み続けている. テクスチャやライティング処理の問題を修正し, パフォーマンスを改善したりしている. 例えば「渓谷」マップの見た目はかなりかっこよくなっている (訳注: プレイしている人は知っているだろうが, U12までの地形テクスチャは何年前のゲームだってくらい解像度が低い)
開発元の公開した画像の引用
5/4 のクリスタルハントモードに関する進捗報告
このアナウンスの主な内容は, 既に公開されたゲームのストーリーのおさらいと, 新たな設定の公開である.
まず, ストーリーに関する言及は, 既に公開されているものとおおむね同じである.
エラデンの山奥の, 古代ダルガリア文明の遺跡が姿を表すと, 人々はクリスタルを求めて争った. 遺跡が発見されてから数週間も絶たずに, エラデンの主要勢力は遺跡にある価値のある品を確保しようと競い合った. 付近に点在する廃棄された砦を占拠した各勢力は, 遺跡の未発見の入口を見つけようと周辺の探索を始めた. これらの砦に侵入し, 遺跡があると推測される場所の情報を集めるのが, プレイヤーの最初のタスクとなる.
この砦はサンドボックスで既に実装されているもの (訳注: 正式リリース版は現在のものからさらに変更が加えられていることが既にアナウンスされている)で, 完成版では4つの勢力のいずれかが占拠していることになる. このダンジョンでも, ゴールドやスキル解放に必要なクリスタルを戦利品として取得できることがある.
(訳注: ここからは完全な新情報だろう)
クリスタルハントモードでは, 最初にプレイヤーキャラクターの設定を決める. 「下級重力魔術師」スローモーションを使いこなす「心理魔術師」といったキャラクターとして開始できるし, 挑戦する気があるのなら魔法一切なしでも良い.
難易度やゲーム体験に関する設定は他にもいろいろある.
(訳注: 以前からアナウンスされてきた, 「古き良き時代の, お膳立てのないゲームデザイン」と, そういうのが苦手なプレイヤーも拒絶しないゲームデザインがどういうものなのかを, より具体的に示してきた.)
- 狂った難易度を要求する奴向けに, ゲーム内での死が永久になる (訳注: リセマラなどができないような制約?) オプション
- ゲーム世界の設定を知るための暗号化された文書を, 自動的に翻訳するオプション
そして, 砦で情報収集したプレイヤーは, 最終目的である古代遺跡ダンジョンの探索を行う. しかし, ネタバレを避けるため, 映像の公開は最低限としている.
開発元の公開した画像
サンドボックスでも既に使用可能な「ホーム」のマップは, ダンジョンを何度も探索するプレイヤーのための拠点である. U10からお目見えしたこのマップには, 見慣れないオブジェクトがある. プレイヤーはこれをおもちゃにしたり, その存在意義について様々な陰謀論を妄想してきたが, 実際これはスキル解放のための装置だとアナウンスした. ダンジョンで発見した「クリスタルコア」を台座に置くと, プレイヤーのスキルを開放できるというものだ. 今回は, さらにその使い方の映像を公開する.
開発元の公開した画像の引用
これは単に空中にUIを浮かべているわけではない. VRならではの没入感のあるUIを意図して作られている.
新たにクリスタルコアを入手すると, 既にあるコアと融合させることで, 今あるスキルをより強化するか, スキルツリーの新たな枝を解放し, 新しい能力を得るかを選択できる. どの選択にも一長一短があり, プレイヤーによってより望ましいキャラクターに育成できる. 時間の経過を遅らせたり, 羽毛のように落下を遅くしたり, 不思議な火球を放ったりと, 多芸な魔術師がかっこいと思うプレイヤーもいるだろうし, 戦闘以外の様々な状況への柔軟な対応能力を捨てて, 火力のみを追求する一芸特化の魔術師がかっこいいと思うプレイヤーもいることだろう.
リリース状況について
現在は, 完全にバグ取りとブラッシュアップの段階いに突入している. つまり最終段階だ. だが, このステージが終わるまでどれだけかかるかは予想がつかない. ここでいうブラッシュアップとは, ゲームをプレイヤーにとってより良いものにすることで, バグ取りとはゲームを破壊する要因を除くことだ. Warpfrogの開発チームのバグ取り作業はだいたいこんな感じだ.
どんな感じなんだ…
正式版へのアップデートは一大事業であり, 開発チームは今まさに, 地獄のようなバグ取りに励んでいる. そもそもこのゲーム自体が物理シミュレーター的な性格が強く, なおかつ更新のたびにゲームシステムが複雑になっているのが難易度の原因だ. アップデートのたびにバグの量が4倍になることを想像してみて欲しい.
ランダムに起こるバグ, ランダムに起こるゲームの破損, ライティング処理の不具合, 後退… ある日ゲームを起動したら家が燃えている! ハイハイスゴイスゴイ. 全部は燃えてないって? もちろん全部燃えてるよ. さらに別の日なんか, ゲームに不浄なクトゥルー的生物が顕現した.
開発元の公開した画像
しかし我々は折れず, ここまで来た! ゲームをプレイ可能なレベルにまで改善するため, チームは最善を尽くし, 本当に奮闘している.
それからもう1つ, 1.0のリリースを最後に, 我々が開発から離れるのではないかと不安がるプレイヤーのコメントを読んだ. これに対して言っておくと, 1.0というのは, 最後のメジャーアップデートと, 早期アクセスの終了以外の意味を持たない. 以降もバグ修正・ゲームの安定化・QOL改善は継続していく. 「1.0はこれ以上改善の必要がないくらい完全無欠のものだ」と我々は願っていますが, 現実的にそれは不可能です(笑)
これ以上の話は正式リリースのときにいくらでもしましょう. それまでしばしの間, 我々は「バグハントモード」に励みます.
公式Discordでのアナウンス
これ以外にも, 公式Discordで少しだけ情報が追記されている. しかし, あまり好ましい内容ではない. いくつか予定していたことがキャンセルされた. とはいえ一部は最初から「できればやる」くらいの優先度ではあった.
いずれも, 開発リソース上の制約で, 1.0に間に合わせることはできないとしてキャンセルされた. 最後のDLCは, KospY一人で開発をしていた頃から現在のチーム体制に拡張するまでの5年間で, 開発フレームワークであるThunderRoadが非効率に拡大しすぎ, これ以上の開発がかなり非効率になってしまっていることを理由に上げている. そのため, DLCや拡張よりも, フレームワークを作り直し ThunderRoad v2.0 へ移行することを優先したいとしている.